Sunday, October 13th, 2019

WHEN EDEN ROCKED

楽園の終わり

text nick foulkes

シャトー・ド・ロリゾンで行われたリタ・ヘイワースとアリ・カーンの結婚披露宴(1949年)。

クラブルームだったジェット機 そんなライフスタイルが終焉を迎えるきっかけとなったのは1969年の2月、エデンロックの常連がグシュタードやサン・モリッツで過ごしていた頃に登場した「ボーイング747」だった。2月21日付のTIME誌は興奮気味にこう報じている。

「米国の航空業界はまもなく、ジェット機時代の到来に匹敵するほどの転換期に突入するだろう。今年の後半には、707やDC-8より速く、静かで、大きく、収益性が高そうなボーイング747ジャンボジェットの運航が開始される予定だ。先週行われた初の試験飛行で、747は1時間以上飛び、ワシントン州にあるボーイングの工場近くへスムーズに着陸した」

“ジェットセッター”はもともと、『Cholly Knickerbocker』というニューヨークのゴシップコラムを書いていたギギ・カッシーニが生み出した内輪のジョークだ。亡命ロシア貴族の御曹司である彼は、50年代初頭のセレブリティを語るうえでぴったりの集合名詞を探していた。

「あれこれ考えているうちに、“ジェットセッター”という呼び方を思いついたんだ。当時の豪華なジェットは世界中を飛び回り、どこまでもスマートで、贅沢や権力を象徴していた」

 しかし、そういったイメージは、ジェット機を利用して旅行できるのが限られた人間だけだという点に依存している。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 30
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