THE MAESTRO'S MASERATI

堺 正章氏 マセラティの魅力を語る

November 2020

text maiko takeda
photography & direction kaz ogawa

ファッションもクラシコイタリアが好きで、最近はタリアトーレがご贔屓。ジャケットのやわらかいシルエットや生地の色合いが好み。この日のブルゾン風ジャケットもタリアトーレ。

「最初のクアトロポルテはね、乗ってみたらもう最悪(笑)! エアコンは効かないし、機械のトラブルは多いしね。イタリアの車って当時はそんな感じだった。でも優雅で伝統的で。完璧にきっちりしているモノより、思いがけないコトが起こるような、どこか崩れているようなものに引き寄せられて、惹かれて、憧れたね、そのラテンの味わいに。結局、イタリアの車や家具、服、イタリアの古い味わいが情緒的でとても好きなんですよね」

 堺さんは芸能界の中でもずば抜けてセンスのいい人、というイメージだ。

「うーん、モノの好き嫌いに理由はないし、そういうのってなかなか答えづらいよね。なんでそれが好きなのって聞かれても、恋と一緒でね。よくわからない。好きなものっていうのは、最初は恋をするようにドキドキするんだけど、恋から熱が冷めていくかのように思うものもある。そして、冷めない恋もあって、それはいつか愛に変わる。永久不変なものにね。マセラティは、僕にとっては愛に変わったもので、自分を高揚させてくれる大事な存在。モノなんだけど、そこにはモノ以上の感情や思いがあふれてしまう。一生付き合っていく相手ですよね」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 36
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