THE (DOUBLE) X FACTOR

染色体 XXだけのフォーミュラ

August 2021

text nick scott

女性ドライバーの先駆者となったマリア・グラツィア・“レラ”・ロンバルディ。

 そして彼女は約3,000万ドルの投資を受けて「Wシリーズ」のCEOとなった。2019年に初開催となったWシリーズは、女性ドライバーのための初のシングルシーター・レーシングシリーズ。アメリカNBCにより全世界に向け放映された。しかしその成功までの道は平坦なものではなかった。彼女のアイデアに温かい言葉は淀みなく注がれたが、資金面の援助まではなかなか得られなかった。

「『見たい人なんていないよ』とか『所詮夢物語』とか言う人ばかりでした。2,000万ポンド以上を集めないといけなかったのに、チームもなければ示すべき成果もなし。でも検討すればするほど、このシリーズは絶対に必要だと確信しました」

 Wシリーズの出資者で会長でもあるショーン・ワズワースは、家族でゴーカートに行ったときに11歳の娘が「モータースポーツ? 無駄よ。女の人はそんなことしないもの」と答えたのを見て、この活動に賛同することにした。アメリカの女子サッカーチームが10年以上におよびナイキからの資金援助を受けて台頭してきたことも決断を後押しした。それ以降、ボンド・ミュールはROKiT、アクロニス、プーマ、そしてハンコックと順調にスポンサー契約を結んできた。

 初開催のWシリーズでは、ジェイミー・チャドウィックが見事優勝した。当初は1シーズン限りのプロジェクトだったが、その成功により、F1とパートナーシップを締結。2021年はF1サポートレースとして8イベントが開催される。ボンド・ミュールはこの契約について、「私たちの取り組みがプロフェッショナルとして認められた証です」と述べた。

レース走行中のオランダ人ドライバー、リアーヌ・エンゲマン。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 40
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