The 10 MOST Rakish JAPANESE SHOMAKERS: SEIJI McCARTHY
セイジ・マッカーシー:日米ハーフの元エリートによる超絶クールなビスポーク靴
July 2021
世界中を渡り住んできた日米ハーフのセイジ・マッカーシーの靴が超クールだ。
photography jun udagawa
すごく男性的であり、ときに女性的だ。狙ったセクシーさではなく、内から滲む色気がクールさを生んでいる。3つのラインがあり、いずれもフルハンドソーン。メイド・トゥ・オーダーは¥240,000~で、納期は8カ月~。フィッティングの修正はありで仮縫いがなしのメイド・トゥ・メジャーは¥280,000~で、納期は10カ月~。ビスポークは¥340,000~で、納期は約1年~。
原宿のブライスランズで仕立てたダルクオーレのスーツにアスコット チャンのシャツ、セブンフォールドのネクタイといういで立ちで現れた。普段はバキバキのヴィンテージ系。骨太なテイストが好きなのだろうと察しはつくが、セイジ・マッカーシー氏が作る靴は、骨太である一方で女性的な色気も湛え、独特の雰囲気を備える。英国的でも、パリ的でも、アメリカ的でも、日本的でもないし、逆にいえば、それらすべての要素が入っているともいえる。「クール」と表現するのがいちばんしっくりくるかもしれない。
スタンフォード大学を卒業し、MBAを取得している超エリートだ。NBAのビジネスコンサルタントや北京オリンピックのプロジェクトマネージャーを経験し、世界中の都市に移り住んできた。未来を約束されていたが、あるとき靴作りへの情熱が勝った。2009年、ロンドンでハンドソーンウェルテッドの靴を学びはじめ、東京の柳町弘之氏のトレーニングプログラムにも参加するなど、腕を磨いていった。
世界中のさまざまな環境で育ち、音楽、アート、たくさんの美しいものに囲まれてきた。美への感覚が研ぎ澄まされているから、クラシックな靴にも自ずと不思議な色気が生まれるのだ。プレーンな靴の面でさえ、セクシーで有機的だ。キャリアからすれば、腕は伸び盛りのただ中。そういえば、ブライスランズのイーサン・ニュートン氏も、今、マッカーシー氏がいちばんクールであると絶賛していた。
ワールド フットウェア ギャラリー神宮前本店の2F にあるマエストロ オーダーサロンがセイジ・マッカーシー氏の工房。全工程をここでひとりでこなしている。写真のプレーンなアッパーの靴は、どちらもわりと最近手がけたもの。甲を包み込む独特の曲面の美しさにうっとりさせられる。スタイルもデザインもクラシックでシンプルだが、男性的であり女性的でもあって、ジワジワと味わい深さが感じられるのが、氏の靴の魅力だ。世界一の多様性を誇る東京のビスポークシューズシーンにおける氏の存在が、東京を一層面白くしている。
セイジ・マッカーシー1976年コネティカット州ウエストハートフォード生まれ。父がアメリカ人で、母が日本人。1歳でドイツに渡り、アメリカ、日本、シンガポール、中国、イタリア、イギリスと、さまざまな国に移り住んできた。名門スタンフォード大学を卒業し、NBA好きが高じてビジネスコンサルタントとして入って、仕事を通じてスニーカーのデザインに興味を持ちはじめ、ミラノでデザインを学ぶ。そこでとある靴に出合い、2009年、本格靴に開眼したという。ロンドン、ベルリン、東京で学び、2016年、WFG マエストロサロンに工房を構え、ビスポークシューズブランド「セイジ・マッカーシー」を始動。
セイジ・マッカーシー東京都渋谷区神宮前2-17-6 神宮前ビル2F
TEL. 03-3423-2021
www.seijimccarthy.com
本記事は2018年9月22日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 24