Tuesday, July 16th, 2019

RUNNING WITH SCISSORS
モードになったスウェットパンツ

ジーンズに代わるもの
 スウェットパンツは、二つの大きなトレンドの象徴となっている。一つは、よりボディ・コンシャスなラインを追求するという傾向。もう一つは、着心地のよさをさらに追求するという傾向だ。
 スポーツウェアの分野は、アパレル業界全体の平均より、4倍も早く成長しており、スウェットパンツがカジュアル・ボトムスの定番として、ジーンズに取って代わる日が来るかもしれない。
 デレク・ローズのマネジング・ディレクター、サーシャ・ローズは言う。
「スウェットパンツの人気の理由は、仕事と私生活の区別がなくなってきたライフスタイルに合っており、何より穿いていて心地よいことです。昔は職場にジーンズを穿いていくことはできませんでした。スウェットパンツだって同じプロセスを歩んでいって、ジーンズ以上にポピュラーになるかもしれません」
 エンジニアド ガーメンツのアシスタント・ディレクターであるアンジェロ・ウルティアは、こう言う。
「ほんの少しだけフォーマルなエッジを加えることで、スウェットパンツに現代の着こなしにマッチした、新しい洗練を与えました。自分自身が快適になることが第一で、それによって他のこともうまくいく。会議にスウェットパンツで行ったことがありますが、同僚は『いいパンツだね!』と言ってくれました。それから、『おや、スウェットパンツだったんだ!』と目を丸くしていた。このアイデアに驚いていたよ。スウェットパンツは本当に楽チンだ。そしてもちろん、男たちは楽チンなのが大好きだからね」
 おそらくその快適さこそが、スウェットパンツの最も賛辞すべき点である。
 しかし、こんな意見もある。
「スウェットパンツをドレスアップしたり、本来の姿とは違うものにしたりするのは、相当難しいことだと思う」とギーブス&ホークスのデザイン・ヘッドであるマーク・フロストは言う。
「スウェットパンツの本質を忘れてフォーマルなシーンに着ていくのは、まるでディナージャケットを野良仕事に着ていくようなものだ。洋服には、それぞれに適した時間と場所があり、スウェットパンツ本来のリラックスしたスポーティさは、本来それが生かされる場所で、生かしたほうがいい」
 だからといって、完全にデイリー・トンプソン(イギリスの陸上競技十種競技選手)にならなきゃいけないというわけではない。Issue08のP84, 85, 87のファッション・フォトで、スウェットが持つ、モードとしての可能性を感じてもらえるだろう。

1963年ハリウッドのパラマウント・スタジオにてスティーブ・マックイーン。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 08
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