JAPANESE CUT

世界が注目する
ニッポンの新世代テーラー

July 2019

text yuko fujita photography ethan newton


SARTORIA CAVUTO
―サルトリア カヴート―
北陸から生まれるフィレンツェ仕立て
2015年、12年間生活したフィレンツェを離れ、
故郷の石川県でサルト人生の再スタートを切った甲 祐輔氏。
フィレンツェ仕立ての第一人者である彼から今、目が離せない。

Yusuke Kabuto / 甲 祐輔1981年生まれ。東京モード学園を卒業後、サルトを目指して2003年にフィレンツェに渡る。リヴェラーノ&リヴェラーノのもとで、金の鋏賞を獲ったフランチェスコ・グイーダ氏に師事。2012年に独立し、自身のサルトリアを始動。2015年帰国し、故郷の石川県で再スタートした。

 修業時代も含めて約12年間住んだフィレンツェに別れを告げ、2015年、故郷の石川県七尾市に戻ってきた。金沢市内にサルトリアを構えようと物件を探し中だが、今は区画整理で取り壊しになる、スポーツ用品店だった実家のビルの1フロアを仮の工房にし、1人仕事に勤しんでいる。ガランとし静寂に包まれた工房での取材中も、気がつくととても穏やかな表情で針仕事に没頭していた。職人中の職人だ。

 ナポリの服に憧れ、サルトを目指して22歳でイタリアに渡った。最初に語学を習得するためフィレンツェを選んだが、そのままリヴェラーノ&リヴェラーノで7年もの間働いた。2010年からはナポリ出身のフランチェスコ・グイダのもとで1年半。2012年、満を持して独立した。

 ナポリの服のように柔らかく、ラインは自然体のフィレンツェそのものだ。柔らかく軽やかで丸みを帯び、広めの肩からウエストにかけて美しくシェイプされ、強めにラウンドしたフロントカットがグラマラスさを引き立てている。

 仕事場は丘から海の街へと移ったが、ゆったりした時間の流れは同じだ。サルトの服は環境によって変化するが、甲氏の服は純度100%のフィレンツェの風を感じさせる服であり続けるはずだ。

サルトリア カヴート
cavutosartoria.blogspot.itにてオーダー情報を掲載。
直接のご連絡をご希望の方はcavutosartoria@gmail.comへ。東京・大阪でオーダー会あり。

本記事は2016年1月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 08

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