HAPPY BIRTHDAY, MR. PRESIDENT
富と審美眼を持つ男の象徴「ロレックス デイデイト」
May 2019
1956 年に誕生したロレックス デイデイトは、半世紀以上経つ現在でもその意匠を大きく変えていない。それは、腕時計として当時から完成されていたことの証左である。写真は、現行モデルの「デイデイト 40」。自動巻き、18KYG ケース、40mm。¥3,320,000 Rolex
曜日表示の魅力 12時位置に鎮座し、プロメテウスの松明のように煌々と輝き、眼鏡をかけたボーダーコリーよりも賢く、マティーニによる酔いを一気に醒ます―それがロレックスの伝説的モデル、「デイデイト」の曜日表示である。選択可能な26の言語表記の中で、私はいつもフランス語に惹かれていた。それはフランス語が曜日名の起源を思い起こさせてくれるからだ。
曜日名の起源は、紀元前1~3世紀に遡る。ローマ帝国が市日に基づく1週間8日制を7日の制度に変えた際、太陽(現英語名Sun)、月(Moon)、火星(Mars)、水星(Mercury)、木星(Jupiter)、金星(Venus)、土星(Saturn)に基づいて名付けた。フランス語はラテン系言語なので、ギリシャ・ローマの神々にちなんで名付けられたこれらの天体とのつながりが明確だ。月曜日はLundi(フランス語の“月”は“Lune”)、火曜日はMardi、水曜日はMercredi、木曜日はJeudi、金曜日はVendredi、土曜日はSamediである。日曜日を意味するDimancheだけが逸脱しているが、ラテン語で「主の日」を意味する「dies Dominicus」に由来している。
一方、英語の曜日名は、ローマ方式のゲルマン的解釈に由来する。ローマ方式は西暦200年頃に伝わり、古英語で使用される曜日名に影響を与えた。実は、古英語は西ゲルマン諸語のひとつ。例えば「Sunday」は「dies Solis(ラテン語で“太陽の日”の意)」を訳した古英語「Sunnandæg」に基づいている。また、「Friday」はアングロサクソン人の女神フリッグ(Frigg)の日を意味する「Frigedæg」に由来する。金星は古ノルド語でフリッグの星と呼ばれていたのだ。
パワーを高める“プレジデント” ロレックス デイデイトを着けた者は、ミック・ジャガーの絶妙な言葉を借りれば、「a man of wealth and taste(富と審美眼を持つ男)」と見なされる。デイデイトという名は、曜日(Day)と日付(Date)を同時表示できることを意味する。曜日は、前述の12時位置の小窓に表示され、日付は3時位置のサイクロップレンズを通して見る仕組みだ。
本記事は2019年1月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 26