October 2020

GORO’S TALK

山田五郎氏が語る
“今旬”時計の魅力

issue10

1815フラッハ・ハニーゴールド
“F. A.ランゲへのオマージュ”
時計工房の設立175周年を記念する限定3モデルのうちのひとつ。自社製キャリバーL093.1の、4分の3プレートやテンプ受けのエングレービング、チラネジテンプといった伝統的要素は、かつての懐中時計を想起させる。厚さ6.3mmのケースには、独自の合金素材ハニーゴールドを採用。特殊な配合と熱処理により硬く傷つきにくい。世界限定175本。手巻き、18Kハニーゴールド®ケース、38mm。¥3,740,000(予価/9月以降入荷予定)A. Lange & Söhne / Nihombashi Mitsukoshi(日本橋三越本店 Tel.03-3241-3311)

A.LANGE & SÖHNEA.ランゲ&ゾーネ伝統の技術を甦らせたドイツの名門
 今年、ザクセン高級時計産業の礎となった時計工房を設立してから175周年を迎えるA.ランゲ&ゾーネは、ドイツ高級時計を代表する実力派ブランドである。

「ランゲは東西ドイツ再統一後のブランド復興においても偉大な礎を築いています。復興時に開発を指揮したラインハルト・マイスは、時計史研究の世界的権威ですからね。1994年に復活第一弾として発表した『ランゲ1』は、4分の3プレートやスワンネック緩急針など昔のグラスヒュッテ製懐中時計に共通していたディテールをあえて現代の腕時計に再現し、同地の後続ブランドの模範となりました。黄金比に基づく文字盤のデザインは当時としては斬新でしたが、あのビッグデイト表示は、実はA.ランゲの師が作ったデジタル時計へのオマージュ。そのような革新と伝統のさりげない融合は、後の『ツァイトヴェルク』などにも踏襲されています。また、歯車から指針まですべての部品が完璧に磨き上げられた美しさも、ランゲならではの魅力。気が遠くなるほどの労力を要する作業が可能なのは、東ドイツ時代に国営化され単純作業をいとわない精神が養われてきたおかげでしょう。スイス製とはひと味違う、重厚な存在感を放つブランドです」

 今年の新作には、そんなランゲの魅力が存分に詰まっているという。

「マニア心をくすぐるディテールを継承しつつ、シンプルかつ実用性に優れた薄型時計。ランゲの良さを知る理想的な1本として、おすすめしたい時計です」

issue10

1994年にA.ランゲ&ゾーネが復興した際のファーストコレクション。名作「ランゲ1」を含む、強力な4本のラインナップを発表した。

issue10

1845年に同社を創業した、フェルディナント・アドルフ・ランゲ。

本記事は2020年9月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 36

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