DESIRE FOR LUXURY, MAYBACH

マイバッハの世界Vol.02
世紀を超えたラグジュアリーの最高峰

September 2021

text shintaro watanabe

ホイールベースをSクラスよりも長くすることにより、後席の居住性をより向上させ、ショーファードリブンとして最高の快適性を誇る。

 メルセデス・マイバッハSクラスのホイールベースはSクラスのロングモデルよりもさらに180mm長くなっていて、その延長分のすべてが後席スペースの拡充に充てられている。その後席に乗り込むリアドアには電動開閉機能(後席コンフォートドア)を装備。ホイールベースの延長により大きくなったドアでも簡単に開閉できるようになった。主に不快な低周波ノイズを低減するために逆位相の音波を発生させるアクティブノイズキャンセレーション機能と、リアのホイールハウス周辺部に追加した発泡吸音材などにより、キャビン内は高い静粛性が保たれている。後席左右に設置された11.6インチのディスプレイはスマートフォンのような直感的な操作が可能で、後席でもMBUXインテリア・アシスタント(※1)のジェスチャーコントロールも使うことができる。さらにDINAMIC SELECTにはあらたに「MAYBACH」モードが追加され、「Comfort」モードよりも快適性を重視したパワートレインとサスペンションのセッティングが用意されている。

 こうした装備は、メルセデス・マイバッハSクラスがショーファードリブンとして使用されることを想定したものだ。後席左右のエグゼクティブシートのバックレストは最大43.5度のリクライニング角度を持ち、レッグレストの調整範囲は従来よりも約50mm拡大。身体のほぼ全体を支える快適なリクライニングポジションを備える。4人乗り仕様のファーストクラスパッケージも用意されていて、後席左右がふたり掛けの左右独立シートとなり、クーリングボックスや格納式テーブルなども備えている。

ホイールベースをSクラスよりも長くすることにより、後席の居住性をより向上させ、ショーファードリブンとして最高の快適性を誇る。

 室内の快適装備の数々は、ラグジュアリーの最高峰を追求するメルセデス・マイバッハならではのものではあるけれど、快適性の鍵を握る乗り心地に関しては、メルセデスの先進技術がひと役買っている。フルアクティブサスペションのE-ACTIVE BODY CONTROL(※2)は、AIRMATICサスペンションをベースに四輪それぞれに48V対応のアクチュエーターを加えたシステムで、状況に応じて四輪のばねレートとダンパーの減衰力を個別に制御する。ステレオカメラを使ったロードサーフェススキャンは前方の路面状況をモニターし、あらかじめ最適なサスペンションセッティングを演算。大小問わず路面からの入力を適切に吸収する。

 E-ACTIVE BODY CONTROL(※2)の役目は快適な乗り心地の提供だけにとどまらない。車両の周りを常に監視するセンサーが側面衝突の可能性を察知すると、エアクッションが乗員とドアの間で膨張するとともに、衝突が予想されるボディ側の車高を瞬時に上げて、頑強な構造部分であるサイドシェルでも衝撃力が受け止められるようにする。メルセデス・マイバッハSクラスは快適と安全の両面で、世界最高水準のレベルに達しているのである。

ファーストクラスパッケージでは後席が2座の独立式に。

 ショーファードリブンを目的とするクルマは後席の住人が主役であり、ドライバーには彼が快適に過ごせる運転スキルが求められる。しかし、運転そのものが退屈なクルマだと、ドライバーの集中力はかえって低くなってしまう。メルセデス・マイバッハSクラスの優れている点は、実は運転も楽しいということ。もし、普段は後席にいるオーナーが自らステアリングを握ったら、きっといつも運転を任せているドライバーに嫉妬するに違いない。

前席後ろのウッドパネルのトリムはマイバッハ専用。

※1 クリスタルホワイト/シルバーグレーパール内装パッケージを選択した場合、MBUXインテリア・アシスタント(前席・後席)は装備されません。 
※2 メルセデス・マイバッハS 580 4MATIC(ISG搭載モデル)にオプション装備。
※写真は欧州仕様

本記事は2021年9月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 42

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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

マイバッハの世界Vol.01 次元の違う、ステイタスを

マイバッハの世界Vol.03 究極のラグジュアリーを追求して100年。そして未来へ