Tuesday, January 27th, 2015

A MODERN GREEK DRAMA

海運王オナシスの強欲

それは過剰なまでの虚栄心、狡猾な情事と不道徳の物語。
ふたりのギリシャの海運王の出会いは、
20世紀最高の宿命の対決の始まりだった。
original text nick foulkes translation mari kiyomiya

1957年、モンテカルロ港に停泊中のオナシスの豪華ヨット「クリスティーナ号」。全長325フィート(99.06メートル)の威容は、ほかのすべての船舶を小舟のように見せた。

”ギリシャの海運王”―それは、第二次世界大戦の終結から中東の石油王が台頭するまで、人々の思い描く「金持ち」の姿そのものだった。特に青春時代を1950年代から60年代に過ごした世代にとって、リバノスやエンビリコスは、21世紀の現在に例えるなら、ベレゾフスキーやアブラモヴィッチといった、ロシアの新興財閥や中国の大富豪のような存在といえるだろう。

 かつて強大な商船隊を誇っていたギリシャ人たちは、世界中の商品と原料を運び、そのオーナーたちも自ら美しいヨットを操って世界中を航海していた。

 そして美しい妻やたくさんの愛人たちを世界最高の宝石商から購入した宝飾品で飾り立て、オークションでは印象派の名画を競り落とし、エーゲ海に浮かぶ島に自分だけの王国を作り上げた。彼らは、19世紀後半から1929年の世界恐慌まで続いたアメリカの“金ぴか時代”の大富豪たち(カーネギー、アスター、ヴァンダービルト、ロックフェラー)のように、けばけばしく派手な権力者の典型として風刺されたのだった。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 01
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