August 2021

A DESIGN FOR LIFE: VITALE BARBERIS CANONICO

世界で最も紳士を生む服地

photography luke carby
text yuko fujita

 会社の規模はかくも巨大だが、VBCが目を向けている先はテーラーだ。テーラーは服地の本質を瞬時に見抜く目をもっている。ブランドの価値をより高めていくには、彼らに愛される服地を追求するのが一番だと理解しているからだ。他のイタリア服地とは一線を画し、耐久性に優れ、仕立て映えがする英国的な経緯双糸の服地を多く揃えているのはそのためだ。ただ、地味な英国服地とは異なり、VBCは年間約5000もの現代的で魅力的なデザインを発表している。

A.カラチェニが惚れ込んだ服地 ヴィターレ・バルベリス・カノニコは2015年4月、サルトリア A.カラチェニとコラボレートし、ミラノにショールームを構えた。お互い相手に敬意を払いながら刺激し合える点、古くから信頼関係があった点から自然とそうなったという。

「一流のサルトリアに愛される服地は、一流の証。それは服を仕立てるお客様がいちばんよくわかってらっしゃる。サルトから求められる服地を理解し提供することで、サルトリアで仕立てるお客様からの信頼も自ずと生まれてくるのです」と語るのは、VBCの13代目でクリエイティブ・ディレクターのフランチェスコ・バルベリス・カノニコ氏。

 それに対しカラチェニの3代目カルロ・アンドレアッキオ氏はこう話す。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 11
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