WHALE PENIS LEATHER BOOTS
クジラのペニス革ブーツを作る
September 2020
透明なフィッティング・シェルの上に、さまざまなデータを書き込んでいく山口千尋氏。
その後、あらゆる方向から写真撮影を行う。30~40カットはシャッターが切られる。これらを使って、折れ線グラフのようなデータを、純粋な曲線に変えていくのだという。
最後にトリッシャムというドイツ製のスポンジで足裏の型を取る。これに石膏を流し込み、各人の足裏模型を作るのだ。これは特にアーチの深さを決めるのに有効だという。扁平足などの問題を抱えている場合、どこに体重が乗るのかを見極めることができるのだ。このとき、顧客の身長も測る。全体的なバランスを見るためだという。
採寸は片足20分程度、両足40分以上はかかる。ここまで精密な測定をしている靴店は、他にないだろう。そのデータは、すべてラストに反映される。
靴の中で足はどうなっている? 仮縫いは通常2回行われるが、1回目の仮縫いに使われるのは、なんと透明なプラスチックである。ギルドでは“フィッティング・シェル”と呼ばれている。「できあがったラストに1mmほどのフィルムを熱して被せ、バキュームで吸い込むのです。真空パックのような感じでしょうか」と山口氏。
本記事は2020年7月27日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 35