THOSE MAGNIFICENT MEN

素晴らしきヒコーキ野郎たち

May 2021

text nick scott

第601飛行隊の新隊員が訓練のため到着。

 第601飛行隊の悪名高いいたずらのひとつに、隊を象徴する木刀が盗まれた際の報復攻撃がある。デイリーエクスプレス紙は次のように報じている。

「昨晩、第601飛行隊の機体が、海をわたって第600飛行隊の基地に向かってきた。そして煤や小麦粉、インクや牛乳の入った風船を投下。第600飛行隊の隊員たちは飛び起きたが、腐った果物や卵、シロップと煤でできた爆弾を浴びせられた。第601飛行隊は煙弾を投下しつつガスマスクを被って侵入し、木刀を回収した」

 富とコネで入隊したとんでもない連中が、ダンケルクの戦いやバトル・オブ・ブリテンで重要な役割を果たすとは、夢にも思われていなかった。この部隊は、1930年代半ばに爆撃機から戦闘機の部隊となり、終戦時までに撃墜約100、未確認撃墜29、さらに損害21以上という驚異的な戦果をあげたのだ。その過程で9人のパイロットを失ったが、マルタや北アフリカの西部砂漠戦線でも効果的な作戦を実行した。また、エル・アラメインの戦いへの航空支援を行い、連合軍のシチリアとイタリア侵攻をサポートした。

 実際、ドイツ空軍が連合軍艦船へ攻撃を始めたのは、1939年のポーランド侵攻の数日後だった。大富豪部隊の精鋭たちは、戦争が始まるとおふざけを終え、ナチスとの最前線へ出陣したのである。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 39

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