The view from the mountaintop

史上最高のグループ―“ラット・パック”

June 2017

カーネギーホールの舞台裏で、マーティン、デイヴィス、シナトラと笑い合うジャン・マレー(1961年)。

ジョン・F・ケネディとの因縁 ローフォードを通じ、グループと知り合ったケネディは、シナトラのカリスマ性に魅了された。そこでケネディは、彼らを大統領選挙における運動員として採用した。彼らにとっても体制側の人間といることは好都合だった。

 ほどなくして、遊説車の拡声器からは、シナトラのヒットソングが流れるようになった。ただし歌詞は「♪皆ジャックを応援したい、ジャックは正しい道を歩んでいる~♪」と変えられていた。ジャックことケネディが当選したときは、就任祝賀会でパフォーマンスを披露した。ジョン・F・ケネディを、愛人となったマリリン・モンローに紹介したのも、ローフォードであった。

 しかし、当時のショービズ界において、マフィアは避けられない存在だった。特にシナトラは裏社会との関わりが深く、ホテルの部屋や電話をFBIに盗聴されるほどだった。ケネディとの関係が崩れたのは、弟であるロバートが司法長官としてマフィアとの対決姿勢を打ち出し、シナトラと縁を切るよう兄に迫ったためだった。

 これは1962年3月の出来事だったが、ローフォードはすでにシナトラの屋敷への大統領訪問を手配していた。訪問を待つシナトラは、ヘリパッドまで建設する気合の入れようだった。ところが、ケネディは訪問を取り止めただけでなく、シナトラとライバル関係にある歌手、ビング・クロスビーのもとに滞在し、シナトラを激怒させた。シナトラはヘリパッドをぶち壊し、ローフォードをクビにした。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 16
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