September 2022

THE RAKISH SHOE FILE 005

オリヴェル・ダンネファルク氏:靴選びの信条は“ミニマル・インパクト”

北欧屈指の洒落者にして、靴専門店でキャリアを積んだスペシャリストでもあるダンネファルク氏。
至極控えめでありながら、研ぎ澄まされた3足を選んでくれた。
text hiromitsu kosone

Oliver Dannefalk「RUBATO」共同設立者
1987年生まれ。英国に学んだのちラルフ ローレンやヴィンテージショップのオーナーを経て、ストックホルムの名靴店「スコーアクティエボラージェット」に参加。2018年にウェアブランド「ルバート」を始動。写真の服もすべて同ブランドのもの。

 服と靴は切っても切り離せない関係にあるが、この双方において専門のキャリアをもつ人物は意外と数少ない。その点において、オリヴェル・ダンネファルク氏は異色といえるだろう。アメリカン・トラディショナルからヴィンテージ、そして本格靴全般に精通する氏は、どんな観点で靴を選んでいるのだろうか?

「ひとことで言うなら、“ミニマル・インパクト”でしょうか。服に対して、靴はできる限り控えめであるべきというのが私流のスタイルです。ですから、黒と茶以外の靴はまず身に着けません。ですので、主に靴はシェイプで選んでいますね。ブリティッシュなアーモンドトウを身につけることが多いです。誇張のないなめらかなフォルムで、トウスプリングは少ないものが好みですね。素材に関しては、スエードとコードバンがマイ・スタンダードです。履き心地がよく、質感に味があって、合わせる服も選ばない。今回のベスト・シューズも、そういった観点からセレクトしました。いずれもこのうえなくクラシックで、装いにスッと馴染む。そして非常にコンフォタブルです。思うに、身に着ける人の仕事やライフスタイルを最適な形でサポートしてくれる靴がその人にとってのベスト・シューズではないでしょうか。ですから、人によって“最高の靴”の形は千差万別だと思いますが、履き心地にしろ合わせやすさにしろ、その人が最も心地よく履ける靴を探していくことが重要ではないかと考えています」

 写真を見てもわかる通り、心身にジャストフィットした靴を身に着けたダンネファルク氏のたたずまいは、非常にミニマルでありながら目を奪われるようなエレガンスに満ちている。レス・イズ・モアを体現したかのようなスタイルは、我々日本人にとっても大いに参考になるはずだ。

抑制美と寛ぎが同居する3足上:美しい履きジワが入ったオールデンのタッセルローファーはコードバン製。「汎用性という意味においては、私が最も信頼を置いている1足です。スーツからジーンズまであらゆる服に合わせています」
中:「ロロ・ピアーナの名作『サマーウォーク』は、特に春夏シーズンで愛用しています。信じられないほど履き心地がよく、控えめで、エレガンスにも満ちた1足です」
下:「装いにリラックス感を加えたいときに重宝するアイテムです。ドレス・カジュアル問わず活用しています」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 46

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