Saturday, March 18th, 2017

THE PASSION OF ST.JEAN

バスキアの情熱と受難

text benedict browne
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パーティで撮られた写真(1985年頃)

 70年代後期のアート界は、新表現主義の誕生により再び活性化していた。バスキアは、ジュリアン・シュナーベル、アンゼルム・キーファー、ゲオルグ・バゼリッツといった有名芸術家や作家らとともに、この新潮流の先頭に立っていた(ちなみにシュナーベルは、1996年の映画『バスキア』の監督を務める)。

 新表現主義の成長の起爆剤となったのは、従来のミニマリズム的なコンセプチュアル・アートに対して必然的に生じた反動や、大衆文化の要素をふんだんに取り入れた芸術作品であった。文化、社会、政治、神話にまつわるテーマをほとばしるような筆使いで表現した新表現主義は、色彩と活力に満ちた作品を数多く生み出した。

 年若く、名誉欲と戸惑いを抱えたバスキアは、世の中における自分の役割について確信がもてなかったが、自らの溢れ出る才能には何となく気づいていた。

 バスキアが1985年2月に『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』の表紙に登場したことは、芸術史に新たな1ページを加える出来事だった。これは当時のアフリカ系アメリカ人芸術家にとって前代未聞の偉業であり、世界的に有名な芸術家としての地位を如実に物語っていた。

 赤い肘掛け椅子に座る彼は、靴下や靴の概念を拒絶しながら、遠くを見るようなまなざしをカメラに向けているが、その瞳は空虚さや困惑、苦悩に満ちた精神を想像させる。まるで誰も知らない秘密を知っているかのようだ。

 絵筆を握ったバスキアは、ゆったりとしたダークチャコール色のピンストライプ柄スーツを纏っている。お気に入りのスーツブランドは、ジョルジオ アルマーニだった。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 14
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