堺 正章氏 マセラティの魅力を語る

　一過性のものでなく、長く愛せる魅力あるものは、やはりそれに見合う自分になりたいというカンフル剤にもなるのだろうか。

「いや、見合うのではなく、それを超える自分になろうと思うことだよ。だって車も、服なんかもそうだけど、見合う、というよりも、乗りこなさないと似合うようにはならないじゃない。服も、服に着られている、ってあるけどさ。自分が服に負けてるというかね。そうではなく、乗り越えていこうと思わないと、いつまでも似合うようにはならないね。例えば、素晴らしい称号を与えられたり、大きな名前を継いだりすると、そこを超えていくようにだんだん引っ張られる。そういう超えたくなるものを見つけるのは、素敵に生きていくために必要なことだね」

　今の時代、新技術の進化もめざましいものがある。EV車への参戦も表明したマセラティの未来についてどう思うか伺ってみた。

「環境問題もあるし、新しい時代に生き残っていかなくてはいけないから、上手に進化してくれるといいですね。マセラティ兄弟のDNAを忘れずに、職人気質を感じさせてくれたら楽しいですが。僕自身は電気自動車にはまったく興味はありませんけどね（笑）。いつまでもアナログな世界観をおもしろがって生きていくんでしょうね（笑）」

　次世代の人が憧れ、乗り越えたいと思う美意識の高いマセラティらしい現行車が期待される。

時計も愛するもののひとつ。特にお気に入りは、香港のオークションで手にいれたヴィンテージのカルティエ タンクレベルソ デュオ。カルティエには珍しい反転式のしかもデュアルタイプで、裏にももうひとつ時計が施された、旅にふさわしいモデル。カルティエ社から譲ってほしいと頼まれたほどの希少モデル。くるりと裏返る仕組みの楽しさに魅了されて。

マセラティのエンブレム「トライデント」が家のそこかしこに彩りを添える。