THE DEVIL WEARS KENT,HASTE & LACHTER

ケント・ヘイスト & ラクターを着た悪魔

July 2020

text nick foulkes photography kim lang

制作プロセスは、まさに災難 “クリエイティブ・プロセス”―もしiPhone上のガイダンスを読んで、ただ色見本をいじることをそう呼べるなら―それは私にとって、非常に苛立たしいものだった。だから今回の試みにおけるこのプロセスが、テリーの代役としてこのプロジェクトを任された、ハドン・ジェームズ・プラットとスヤンバ・クマレサンをどんな気分にさせたか、容易に想像がつく。

 週に1回、約5カ月間。私は店を訪れては、「ここはもっとダックエッグ・ブルー」、「そこはそんなに強くない鉄錆色」、「あそこは苔のようなモスグリーン」などと、さんざん勝手なことを言った挙げ句、ほとんど何も決められないまま去っていくのだ。

 もちろん、映画『ケント・ヘイスト&ラクカーを着た悪魔』の主人公のように振る舞うのは、本当は大変なことだった。私はこれらの布を織るラヴァット社の人々に、私の熱に浮かされたような思いをなんとか伝えようとしたのだ。

 ブレークスルーは突然やってきた。実は25年前の『カントリーライフ』誌のツイードを織っていたのは、ラヴァット社だったのだ(おそらく外注されていたのだろう)。われわれは同じバックグラウンドで、オーバーチェックを錆色とミッドブルーにしてはどうかと考えた。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 34
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