THE DEVIL WEARS KENT,HASTE & LACHTER

ケント・ヘイスト & ラクターを着た悪魔

July 2020

text nick foulkes photography kim lang

 それはハワード・スプリングの1940年の小説 『Fame Is the Spur(名声は拍車)』に出てくる、サダビー氏の、地下のごみごみした書店を思い起こさせた。これらは他にもサヴィル・ロウで発見されたコレクションで補完され、別名“W.ビル・コレクション”として知られるようになった。

 最近では、ピエール・ラグランジュによって導入された、ハンツマン特注のツイード・デザイン・ソフトウェアを使用して、素晴らしいチェックを作成した。それまでは、私は、毎年ハンツマン・ツイード・デザイン・コンテストで公平な投票を行っており、たとえ自分が勝てなかったとしても、 結果を正しい方向へ導こうと努めていた。

 テリーの場合、ツイードをデザインすることは、そんなにハイテクなものではない。彼は、レオナルド・ディカプリオがSF映画『インセプション』で行った方法をとっている。アイデアの種を心に植え付け、その概念を彼のなかで育てるのだ。ひとりの書記として、仕立ての助産師として、生地を生み出すことが幸せなのだ。本当に素晴らしい姿勢だといえる。

 テリーは、マウスやカーソルのクリックで、チェックを自由自在に変えられるモダンなソフトウェアは持っていない。ケント・ヘイスト&ラクターのIT部門は、まだファックスの使い方を理解しようとしているレベルだ。それは極めてオールドスクールな方法で、決して正確とはいえないが、そこには情熱がある。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 34
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