STRANGE MAGIC

ベネディクト・カンバーバッチ
芝居の魔術師

July 2021

text tom chamberlin
photography steve schoeld
styling joe woolfe

ウェストコート、トラウザーズ both by MBE by Tim Everest シャツ、タイ both by Emma Willis 時計「ジャガー・ルクルト ポラリス・オートマティック」 ¥941,600 Jaeger-LeCoultre

かつてないほどの“当たり役” カンバーバッチは『ホビット』や、『スター・トレック』など、世界的な人気シリーズにも出演してきた。近年は、マーベルのアクション大作で魔術師のドクター・ストレンジを演じている。

 映画『ドクター・ストレンジ』(2016年)はスーパーヒーローものより『インセプション』のような作品に影響を受け、アクションシーンはブルース・リーを目指したという。傲慢な外科医、ドクター・ストレンジは、神の手と呼ばれた両腕が使えなくなり、人生が一変する。やがて、アメリカンドリームから創世記をめぐるエピソード、東洋の神秘主義やオカルトまで、あらゆる要素を盛り込んだ壮大な寓話が展開されるのだが、さまざまなメタファーを融合した同作は他のマーベル作品と比べても極めて複雑で型破りなものだ。カンバーバッチはコミックでの痩せこけた風貌を完璧に再現しており、まさに見事な当たり役。大ヒットを記録した。

 満を持して2018年4月に公開された『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』では、ドクター・ストレンジも他のヒーローたちとともにさらにパワーアップしていた。カンバーバッチは語る。

「ルッソ兄弟(監督)と仕事をするのは本当に楽しかった。これほど多岐にわたるストーリーを巧みにまとめる手腕には感服したよ。ロバート・ダウニー・Jrとの共演シーンが多かったけど、素晴らしい経験だったね。偉大なリーダーである彼のおかげで最高の時間を過ごしたよ」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 24
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