SISTERS OF PROVIDENCE

神の手に導かれた姉妹、ジャッキーとリー

March 2020

issue10

ディナー後にジャンニ・アニェッリとともにパリのマキシムを去る1968年のリー。ジャッキーは、1962年のイタリアでの休暇中にアニェッリと恋愛関係にあったと噂された。

 カポーティはリーをはじめ良家の子女を集め、彼女たちに付き添い、教育し、自分の“スワン”と呼んだ。リーは、カポーティが1966年に開催した伝説の舞踏会に参加するなど、以降パーティに欠かせないセレブの象徴のような人物となった。

 現代のセレブ文化の先駆けとなった姉妹は、その文化の影の側面を70年代に経験した。1975年のオナシスの死によってまたしても未亡人となったジャッキーは、ニューヨークに戻りダブルデイ社の編集者になった。

 新しい交際相手は、ベルギー生まれの実業家兼ダイヤモンド商のモーリス・テンペルズマン。しかし彼女は果てしない臆測の対象となり、ゴシップのネタにされ続けた。パパラッチの草分けであるロン・ガレラからストーカーのように追いかけられ、接近禁止命令を勝ち取るまでに何百枚ものプライベート写真を撮られた。

 一方リーは、ゴア・ヴィダルがカポーティに対して起こした名誉毀損訴訟に巻き込まれた。訴訟の原因は、カポーティがヴィダルを非難したこと。カポーティは、ヴィダルがジャッキーの体に手を回し彼女の母親を侮辱したせいでホワイトハウスの行事からつまみ出された、さらにこの話の情報源はリーである、と述べたのだ。リーの反応は「ふたりはホモでしょう。不快極まりないわ」と傲慢なものだった。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 31
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