SISTERS OF PROVIDENCE

神の手に導かれた姉妹、ジャッキーとリー

March 2020

issue10

結婚した年(1968年)に撮影された、ギリシャ人海運王アリストテレス・オナシスとジャッキー。

 リンドン・ジョンソンが大統領就任宣誓をするときまで「犯人に自分がしたことを見せたい、世界中の人に見てもらいたい」として夫の血を浴びたスーツを着続けたり、結婚指輪を外して棺に横たわる大統領の指にそれをはめ、「私にはもう何も残っていない」と述べたりした。ジャクリーン・ケネディはアメリカの人々にとって、彼らが常に欠いていたもの、つまり威厳をもたらす存在となったのだ。

 そんな彼女の理想像が少し輝きを失ったのは、1968年にロバート・ケネディが暗殺された後、自身と子供たちの安全を懸念した彼女が米国を離れ、裕福なギリシャ人海運王アリストテレス・オナシスと結婚したときである。オナシスは彼女を受け入れるべく、マリア・カラスとの関係に終止符を打った。

スワンと呼ばれたソーシャライト 一方、リーの歩みは渡り鳥のようだった。出版業者であった最初の夫と離婚した彼女は、1959年にポーランドの貴族で、英国不動産界で財を成したスタニスラフ・アルブレヒト・ラジウィルと再婚(1974年に再び離婚)。

 1960年代は女優としてのキャリアを築こうとしたが、あまりの演技に酷評され、その道は早々に閉ざされたが、出演したドラマ『ローラ殺人事件』の脚本を書いた時代の寵児トルーマン・カポーティが、リーを上流階級の社交界のミューズに抜擢した。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 31
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