SISTERS OF PROVIDENCE
神の手に導かれた姉妹、ジャッキーとリー
March 2020
ふたり目の夫であるポーランドの王族、プリンス・スタニスラフ・ラジウィルとともに、トルーマン・カポーティが1966年に開いた舞踏会“ブラック&ホワイト”に参加するプリンセス・リー・ラジウィル。
聖母となったファーストレディ 心を蝕むような幼少期の影響は、異なる形で現れた。常に脇役を務めてきたリーは、多様なキャリアに手を出し、最終的にはソーシャライト(社交界の名士)となった。ジャッキーはさらに深刻な状況だった。両親の離婚により不安と抑圧された怒りを抱くようになり、親友以外には用心深くなった。
一方で、集団において力を持つ男性にどうしようもなく惹きつけられた。ジョン・F・ケネディは前途洋々で大きな期待を背負い、リーダーシップに溢れ、感情面では無責任だった大統領だったが、ジャッキーはその中に放蕩な父との類似性を見いだしていたに違いない。
おかげで彼女は、彼が浮気を重ねても冷静さを保てただけでなく、威厳と気品に溢れるファーストレディのひな形を確立できた。弱冠31歳でファーストレディとなった彼女は、荒れ果てたホワイトハウスを修復し、ファッションアイコンとなり、究極の女主人として振る舞うことで欲求不満を解消した。
しかし、ジャッキーがアイコンとして神聖視されるようになったのは、1963年のJFK暗殺事件後である。彼女は、救世主を殺されて悲嘆に暮れる国民にとっての“悲しみの聖母”へと姿を変えた。