SIGNATURE STYLE

マーク・ロンソンの流儀

December 2018

シンガーソングライター、DJ、プロデューサーと多彩なキャリアを持つマーク・ロンソンは、時代の寵児であり、音楽業界で最もスタイリッシュな紳士のひとりだ。
比類なきタイムピースを生み出すスイスのマニュファクチュール、ショパールの「モダン・ジェントルマン」のひとりに選ばれた彼のモチベーションとスタイルに迫る。
text ross povey

Mark Ronson / マーク・ロンソン1975年ロンドン生まれ。名士の両親を持ち裕福な家庭環境で育つ。16歳よりDJ活動を開始し、その後大物アーティストの世界ツアーに同行。2006年、エイミー・ワインハウスのシングル『リハブ』のプロデュースで一躍脚光を浴び、2008年のグラミー賞では最優秀プロデューサー賞を受賞。2014年に発売した『アップタウン・ファンクfeat. ブルーノ・マーズ』で全米14週連続1位を記録。昨年のグラミー賞では最優秀レコード賞を含む2冠を達成。

着用の時計はショパールの「L.U.C XPS フェアマインド」。
photograph by courtesy of chopard

 2016年に、マニュファクチュールの創設20周年を迎えたラグジュアリーウォッチメゾンのショパールは、数々の「L.U.C」シリーズの新作を発表した。L.U.Cウォッチの最大の魅力はその優れた設計思想にある。ムーブメントに合理性と高い技術を持ち込みながらも、普段見えない部分でさえも無駄のない完璧な美しさを追求しているのだ。時代を超えたジェントルマンのための、エレガントな審美的要素を具現化したコレクションである。

 ショパールのL.U.Cウォッチをこよなく愛するスタイリッシュなセレブリティといえば、マッツ・ミケルセン、マイケル・ファスベンダー、マシュー・マコノヒー、デヴィッド・ガンディら枚挙に暇がないが、その愛好家の中に新たに加わったのがDJ兼ミュージシャンであるマーク・ロンソンである。彼は故エイミー・ワインハウスのプロデュースで一躍脚光を浴び、2015年には、ブルーノ・マーズをフィーチャーしたシングル『アップタウン・ファンク』で全米14週連続1位というロングヒットを記録。音楽業界に一大旋風を巻き起こしているが、独特のヘアスタイルにスリムなスーツを着こなし、新時代のファッション・アイコンとしても世界中から注目されている。そのスタイルは、単にスタイリッシュなだけでなく、知性、礼儀正しさ、ビッグスターでありながら素朴で人好きのする性格が滲み出ており、L.U.Cウォッチと同様に、絶対的な洗練さを備えた現代のジェントルマンを見事に体現している。

あなたのセンスのよさはどのようにして体得されたのですか?

 人は誰しも周りの世界から影響を受けて自分を形成していくものだと思います。日々の暮らしの中から、夢中になれる物事や愛する人を見つけていくものです。自分が魅力を感じるさまざまな事象を融合させることによって、自分なりの個性やスタイルが築かれていきます。音楽に関しても同様で、私の場合はプリンスやレッド・ツェッペリン、メテオーズ、ビースティ・ボーイズから影響を受けて自分自身のスタイルを確立し、新たなジャンルの音楽を創造しています。ファッションについてもまったく同じことがいえます。私のスタイルの原点は「クラシック」であり、デヴィッド・ボウイのように、これまで誰も見たことがない、奇抜でワイルドな衣装に身を包むことはありません。50年代のジャズや、60年代のアラン・ドロンのような映画スターのスタイルからインスピレーションを得て、そこにポール・ウェラーのテイストを融合させて、自分独自のスタイルを築いています。影響を受けるものが何であれ、それを自分なりにアレンジすることが大切だと思っています。

80年代に子供時代を過ごしたことから、何らかの影響を受けたと思いますか?

 それは間違いありませんね。生まれて初めて「かっこいい!」と思ったバンドはデュラン・デュランでした。6歳ぐらいだったと思います。母親の行きつけのヘアサロンで髪を切ってもらうことになったのですが、そこは、いわゆるスクールカットを専門にするようなところとは比べものにならないほど流行に敏感なサロンでした。そこで私はスマッシュ・ヒッツ誌に載っていたジョン・テイラーの写真を見せて、「こんな髪型にしたい」と頼んだのを覚えています。ブリーチ剤とムースが足りなくて、ジョン・テイラーのような髪型にはまったくならなかったのですが(笑)。

普段はショパールの新作時計「L.U.C GMT ワン」を着用されているそうですね。世界中を飛び回るあなたのような人には、とても便利だと思うのですが。

 GMT機能は本当に役に立っています。旅行中はいつも頭の中で時差を計算するのですが、うまくいかないこともあります。この半年は、ロンドンとロサンゼルスを行き来する生活が続いているので、何時に電話したらいいかいつも考えています。先日アジアツアーを行った際にも、ロンドンやロサンゼルスとの時差をあれこれ計算していました。「L.U.C GMT ワン」なら、自分で計算しなくても現地時間がすぐにわかり、さまざまなタイムゾーンの時間がすぐに表示できるところが気に入っています。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 15
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