“SARTORIA RAFFANIELLO”に聞いた
初めてのフルオーダー成功のコツQ&A
April 2024
photography makoto koike
Q1:各テーラーの趣味が反映されたストック生地のコレクションを見るのもオーダーの楽しみ。大体のイメージを伝えれば、テーラーがおすすめを見繕ってくれる。もちろん、バンチブックを見てピンとくるものがあればそこから選んでもOKだ。
Chapter 03
最高の一着を叶える生地選びの要諦
Q1:ストック生地とバンチの違いは?
A:生地棚にストックされている生地は、テーラーが“これで仕立てたい”と目をつけて集めてきたコレクションです。ストック生地の内容を見ると、そのテーラーの趣味がなんとなくわかるものです。基本的にストック生地はすべてテーラーのおすすめだと思っていただいてよいでしょう。価格に関しても、ストック生地のほうがお得になるケースが多いです。
Q2:重い生地/軽い生地の長所と短所は?
A:重い生地は仕立て映えしますが、馴染むまでに時間がかかります。年齢とともに軽い生地を嗜好するようになるお客様もいらっしゃいますね。軽い生地は扱いに神経を使いますが、光に当たったときに手縫いならではの立体感が際立ちます。個人的には、ハリがありつつ重すぎない生地が好みですね。
Q3:ヴィンテージ生地の魅力は?
A:やはり現代とは製法が違いますので、独特の色柄や風合いが楽しめるところですね。ヘビーウェイトなものが中心ですが、旧式織機で織られているため、空気を含んだようにふんわりとしていて、仕立てるのがとても楽しい生地です。
Q3:サルトリア ラファニエロが現在所有するヴィンテージ生地の数々。約40年前のドーメル「スポーテックス」や プライのモヘア、スーパー70’Sというがっしりした英国製ウール生地など、ユニークなバリエーションだ。いずれも現行生地にはない独特の表情が魅力的。
Q4:英国スタンドイーブンとリード テーラーによるエスコリアルバンチ。目付け240~260gとライトウェイトで、肌触りも非常に軽く滑らかだが、打ち込みがしっかりしているため仕立て映えも良い。色柄のバリエーションはクラシックなものが中心となっている。
Q4:今、人気のある生地は?
A:エスコリアルを試してみたいとおっしゃる方が増えています。ウールの一種ですが、繊維がカシミアなみに細い高級素材です。非常に柔らかいのに、カシミアよりもしっかりとハリコシがあるため仕立て映えも素晴らしい。美しい光沢を備えているのも特徴的です。
Q5:ネイビー無地のおすすめは?
A:ロロ・ピアーナの「タスマニアン」を迷わずおすすめします。色気と高級感があり、ビジネススーツに最適。以前この生地でお仕立ていただいたお客様には、海外のレストランでいつも一番いい席に通されると大変満足いただきました。
Q6:グレイ無地のおすすめは?
A:先ほどご紹介したエスコリアルのグレイもいいですし、あとはドーメルの「アマデウス365」ですね。どちらにも共通しているのが、ほどよい光沢。グレイ無地は地味に見える可能性もあるので、これくらいの華やかさがあるとよいでしょう。
Q5:大のロロ・ピアーナ好きという東さんが推す「タスマニアン」のネイビー無地。目付け250gと軽快感のあるウェイトで、ラグジュアリーな光沢感が特徴だ。柔らかい肌触りだが生地に歪みがなく、テーラーとしても仕立てやすいという。
Q6:グレイ無地のリコメンド。左がエスコリアル、右はドーメル「アマデウス365」で、その名のとおり通年着用できるクオリティに仕上げられている。濃すぎず薄すぎずのちょうどよいミディアムトーンは、シャツタイのコーディネイトも容易だ。