PAUL FEIG'S MIXED BLESSING

お洒落監督の流儀
―ポール・フェイグ―

August 2020

text tom chamberlin photography robert spangle

ロマンティック・コメディ映画『ラスト・クリスマス』(2019年)のオープニングシーン。

 ポールのライブストリーミングで集まった金額を正確に把握するのは難しいが、彼自身も10万ドル以上を寄付してしっかりと社会に貢献している。

多様性を受け入れる取り組み はっきり言って、ポールは映画制作に長けたコメディキャラクターというわけではない。もちろんお茶目な顔は持っているが、その裏では、なんとか時代に適応しようとする業界に、多大な変化をもたらす努力をしているのだろう。女性や少数民族を大切にする彼の姿勢は、作品の内容だけでなく、制作過程においても変わらないのだ。

 例えば、彼はどんな映画をつくるときも、*インクルージョン・ライダーを取り入れる。彼はこう説明してくれた。

「インクルージョン・ライダーを導入すれば一定数の人を雇わなければならない、というのは誤解です。そうだといいなと思いますし、業界がもっと平等になればできるでしょう。でも現時点では、男女、白人も有色人種も一定数含まれるよう面接して検討する、ということを意味しています。これは本当に素晴らしい。現在の業界ではいつも同じ顔ぶればかりが起用されているからです。

*インクルージョン・ライダー = キャストにもスタッフにも、女性や少数民族、LGBTQ、障がいのある人々が、一定の割合で入っていることを条件とする契約要項。

本記事は2020年7月27日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 35

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