PAUL FEIG'S MIXED BLESSING

お洒落監督の流儀
―ポール・フェイグ―

August 2020

text tom chamberlin photography robert spangle

イギリスで社会現象を巻き起こした人気ドラマ『ジ・オフィス』のUS版で、いくつかのエピソードを監督したポールが、カメラの前に初めて登場(2013年)。

「毎日20分程度の動画を配信するだけです。おどけたダンスを踊ってパーティーを始めたら、その日の寄付をして、私が見つけて吟味したチャリティを紹介します。ちゃんとしたチャリティかどうか必ず自分で調べてからフォロワーにも寄付を勧めます。それからカクテルを作り、ローリー(エネルギッシュなポールの妻)がコミックリリーフとして登場。下手なアドバイスをして、退場します。

 とにかく毎日やりたいと思いました。この試みで良かったのは、芸能界の壁を超えて人々と交流できることです。芸能界は普段、仕事内容が細かく管理されているので、多くの制限がかかってしまいますから。洗練されたものや過剰なものは必要ありません。人の作品を見て楽しみ、人間的なつながりを持つだけです」

 ポールが配信する動画が人々の心を動かすのは、利他的な側面があるからだ。カクテルやダンスといった多くの人が見たくなるコンテンツはもとより、他者を助けるために自分をさらけ出すという考え方は賞賛に値する。この動画は誰に恩恵をもたらしているのだろうか?

「もちろん医療従事者や飲食店です。私は飲食店やバーテンダーの皆さんがとても心配です。平時は外食がほとんどで、家で夕食をとることはありません。長年にわたってレストランやバー、クラブで楽しい夜を過ごせたのは、こうした方々のおかげです。彼らが仕事を失っていると思うと悲しくなります」

本記事は2020年7月27日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 35

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