PAUL FEIG'S MIXED BLESSING

お洒落監督の流儀
―ポール・フェイグ―

August 2020

text tom chamberlin photography robert spangle

ガウン New & Lingwood
パジャマ Fernando Squette
時計「クロノマスターリバイバル A3818“ カバーガール”」自動巻き、SSケース、37mm ¥880,000(完売)Zenith X Revolution X The Rake

 ポールはハリウッドの荒波をどうやって乗り越えてきたのか。順調に見えるが、実は決して楽な航海ではなかった。自身の青春時代をモチーフにした1999年のドラマ『フリークス学園』は、いまだにカルト的な人気を誇っており、名作と評価されている。セス・ローゲンやジェームズ・フランコ、ジェイソン・シーゲル、ビジー・フィリップスの出世作でもある。しかし、当時はシーズン1の途中で終了してしまった。ポールは、初めて手がけたドラマが打ち切りになるという大きな試練から立ち直る必要があった。

「あれはとても面白い作品でした。絶対的な自信があったけれど、打ち切り後もこれほど長く愛されることになるとは思いませんでした。素晴らしいメンバーがたくさん参加してくれていたので、良いものがつくれていることはわかっていました。

 私自身の経験に基づいたドラマですから、少なくとも作り話や二番煎じではありません。誰もが安全な距離から恥ずかしい過去を追体験したいはずだという確信がありました。今にしてみると、当時はこうした追体験をしたいと思う人が少なかっただけです。だから“自分は人が好むものをわかっていると思っていたのに”というショックが大きかった。ドラマでは一切妥協をしなかったのですが、それがかえって不安の種でした。

 “銃にこだわったのがいけなかったのだろうか?”“自分が好きなものは人に好まれないのだろうか?”“自分が思うことはどれも、人から求められていないことなんだろうか?”と考えました。自分はわかっているようでわかっていなかったんだと思い、さらに落ち込みました」

本記事は2020年7月27日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 35

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