PAUL FEIG'S MIXED BLESSING

お洒落監督の流儀
―ポール・フェイグ―

August 2020

text tom chamberlin photography robert spangle

スーツ Anderson & Sheppard
シャツ Anto of Beverly Hills
タイ、ブートニエール both by Charvet
チーフ Penrose
メガネ¥24,800 Prada(ルックスオティカジャパン カスタマーサービス Tel.0120-990-307)
アンティークのチェーン付き懐中時計 property of Paul Feig

 ポールは過去の作品でも心の故郷である英国をモチーフにしている。例えば、『シンプル・フェイバー』(2018年)でブレイク・ライブリーが演じるキャラクターがマティーニの作り方を教わったというデュークス・バーはポールのお気に入りだ。もっとも、行きつけの店でロケをしたのはこれが初めてだった。よく知らない人は、このような隠し球がロンドンの魅力を伝える優雅なモチーフと思うかもしれないが、通な人から見れば、ポールの洗練されたセンスの現れだとわかる。彼のスタイルに好みを隠そうとする意図は見られない。ポールはこう語る。

「私が好きなのは英国の伝統的なテーラーリング、ボーラーハット、アンブレラ、モーニング。最近はまっているのは、コーディングスやパーディといったシューティングウェア。狩猟はしないけど、映画を撮影(shoot)するのでね」

 彼がアンダーソン&シェパードやニュー&リングウッド、ジョージ クレバリーのようなブランドを好んでいることは、SNSの投稿でも一目瞭然である。

 本誌は以前、ポールを型にはまらない男だと評した。彼はハリウッドの典型的な映画監督とはまるで違う。威圧感はなく、芸術家気質もなく、謙虚で物腰が柔らかく、多様性やチームへの配慮をとても大切にしている。幸いなことに、彼とは面識があった。初めて会ったのは4年ほど前。ロサンゼルスのダウンタウンにあるザ・リッツ・カールトンの最上階で、本誌の取材に応じてくれた。

本記事は2020年7月27日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 35

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

Contents