PAUL FEIG'S MIXED BLESSING

お洒落監督の流儀
―ポール・フェイグ―

August 2020

text tom chamberlin photography robert spangle

ガウン New & Lingwood
シャツ Anto of Beverly Hills
ボウタイ¥12,500 Turnbull & Asser(ヴァルカナイズ・ロンドン Tel.03-5464-5255)
スタッズボタン 参考商品 Dunhill(ダンヒル Tel.03-4335-1755)
メガネ¥24,800 Prada(ルックスオティカジャパン カスタマーサービス Tel.0120-990-307)

 新型コロナウイルスが落ち着いていないので、こうしたプロジェクトはいずれもやや停滞している。先の見えない不安や恐れで自分を見失いそうになるが、ポールが持っている感謝の念はそれ以上に影響力がある。彼は今回のロックダウンから貴重な教訓を得たと語る。

「結婚生活というのは本当に心強い。妻と一緒に毎晩飲んで、映画を観ています。いろいろな人とオンライン飲み会も楽しみました。ロサンゼルスではどこに行くにもクルマを運転しなければならないという高いハードルがあるのですが、ノートパソコンを開くだけで済むようになったので楽になりました」

 多くの人は、家族と長い時間を過ごすうちにさまざまなストレスや緊張感を覚えた。イギリスでは、この大変な感情をユーモアで解消する人が多いし、社会のためになることをすれば、いずれ見返りがあると多くの人が信じている。ところが、ユーモア溢れるこの映画監督は、なんとその逆を行くのだ。彼はコメディに頼らず、むしろ心の底から元気になるようなものを大切にしている。このシンプルで愛に満ちた行いを通じて、彼はポール・フェイグという人物を過小評価するのは間抜けだということを証明してみせた。彼こそ私たちが求めていたヒーローである。ロックダウン期間中かどうかにかかわらず、彼は当分の間どこへも行かないだろう。

本記事は2020年7月27日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 35

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