OUT OF THE FIRE

炎の男、ニキ・ラウダ

March 2020

text nick foulkes
issue10

自身のレース復帰を祝う姿(1982年)。

 2008年、ラウダは3年前に片方の腎臓を提供してくれた、客室乗務員のビルギット・ウェッツィンガーと再婚した。

 2012年にはメルセデスチームに加わった。同社がグランプリで成功を収めてきたのは、ラウダのおかげが大きいとされている。特筆すべきは、若きルイス・ハミルトンをマクラーレンから誘い出したことだ。ハミルトンはラウダが「移籍話を持ってきて、実現させてくれた」と語ったと伝えられている。

 ラウダのことを、ハミルトンは尊敬し、崇拝さえしていた。2019年のモナコGP優勝時に着用していたヘルメットは、ラウダが最後に優勝した時に被ったものとそっくりだった。ハミルトンは言った。

「間違いなく今までで一番困難なレースでしたが、私はニキの魂とともに戦っていました。彼はきっと、こちらを見下ろし、帽子を取って挨拶してくれるでしょう。この日をニキのために捧げます」

issue10

F1史に残る大クラッシュとなった事故後レースに復帰したニキ・ラウダと、好敵手であった英国人ドライバー、ジェームス・ハント。(1976 年)

THE RAKE JAPAN EDITION issue 31
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

Contents