Sunday, March 29th, 2020

OUT OF THE FIRE

炎の男、ニキ・ラウダ

text nick foulkes
issue10

2人目の妻であるビルギット・ウェッツィンガーとミュンヘンのオクトーバーフェストで(2007年)。

航空業界でも戦った 航空業界での彼のキャリアには、レース人生とよく似た部分がある。1991年に、彼の航空会社の飛行機が逆推力装置の誤作動によって墜落し、乗員乗客全員が死亡する出来事があったのだ。

「人生で最もつらかった時期は、ドイツGPでの衝突事故後に違いないと思われるのが常だ。だがそれは違う。私が創設した航空会社、ラウダ航空の飛行機が1991年にバンコクで墜落し、223人が亡くなった。あれは大惨事だった」

 彼は持ち前の綿密さを発揮し、ボーイングにもひるむことなく立ち向かった。コントロールを失った条件をシミュレーターで何度も再現し、パイロットではなく機体に問題があったことを確信した。

「私はこう言った。“767型機に事故当時と同様に荷を積んで、2名のパイロットを乗せ、逆推力装置を空中で作動させてくれ。機体が飛び続けるというのなら、私も乗せてほしい。やろうじゃないか”と。悪いのはメーカーであって、機体の操縦者ではないということが、8カ月経って初めて明らかにされた」

 最初に設立したラウダ航空を1990年代後期に売却した彼は、格安航空会社のニキ航空を創業。同社は2011年にエアベルリンと合併した。3社目の航空会社であるラウダモーションは、現在ライアンエアーの子会社となっている。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 31
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