Saturday, March 7th, 2020

MARCELLO MASTROIANNI

RAKISH MANは、トレンドから距離をおいた
自分のスタイルをもっている

photography tatsuya ozawa & GETTY IMAGES text yuko fujita

左:
クラシックの不変性を物語る1枚数々の女性と浮き名を流したマストロヤンニは、1948年にイタリア人女優フローラ・カラベッラと、生涯でただ一度のみの結婚をしている。こちらは1955年に撮影された、彼女との貴重なプライベート2ショット。ス ミズーラで仕立てたグレイのスーツの仕立ての美しいこと。今見てもなんら古さを感じさせない仕立てから、真のイタリアンクラシックは不変であると、改めて実感させられる。小さなノットもマストロヤンニらしくていい。
右:
ツイードジャケットのミニマルな装い1950年代、映画撮影の休憩中に撮られた1枚。ブラウンヘリンボーンに白のポプリンのレギュラーカラーシャツ、黒のシルクニットタイで、胸ポケットにはサングラス。今の時代にもフィットするミニマルな装いでビシッと美しく決まっているが、ハリウッド俳優のように胸を立派に張るのでなく、マストロヤンニらしくどこか前屈みの姿勢がナチュラルな雰囲気を生んでいる。これぞマストロヤンニらしいエレガンス。

 どんなにカッコよく決めていようが、内面を磨かない限りは、人を魅了する味は生まれ得ない。それは人生の経験を積むなかで、徐々に芽生えてくるものなのだ。

「ある一定の年を取らないと、味っていうのは出せないんだなっていうのは、自分が年を重ねていくなかでわかってきたことです。俺はこんなに高い時計をもっているんだとかこのブランドを着ているんだとか、これ見よがしな自慢話をしているようではまだまだ大したことなくて、凄い奴ってそうではないんですよね。私は若い頃のマストロヤンニよりも中年から晩年にかけての味わい深さを増した彼に、より一層の魅力を感じます」

ナチュラルなエレガンスこそが
マストロヤンニの魅力だった
 マルチェロ・マストロヤンニは決めていても決まりすぎない。彼にはそんなナチュラルなエレガンスが常にあった。
 どんな装いであっても、自分と服との距離は常に一定。それこそが彼の魅力であったのだ。

左:
イタリア紳士の見事な自然体エレガンス1960年代、ローマンカットの素晴らしい仕立てのペンシルストライプスーツに身を包んだマストロヤンニ。俳優としてより味わい深さを増してきた時代だ。それはさておき、他の3人のスーツの仕立ても大変素晴らしい。左は、映画『昨日・今日・明日』(1963年)や『ああ結婚』(1964年)などを筆頭に数々の映画音楽を手がけたアルマンド・トロヴァヨーリ。右のふたりは喜劇作家のサンドロ・ジョヴァンニーニとピエトロ・ガリネイ。
右:
イタリアを代表する大スターふたり映画『昨日・今日・明日』で、ナポリ出身の大女優ソフィア・ローレンと、グレンチェックとコットンのリバーシブルのステンカラーコートを着て運転しているシーン。マストロヤンニはプライベートでもバルマカーンコートをよく着ていた。ソフィア・ローレンとは『バストで勝負』(1956年)や『ああ結婚』など7作品で共演し、当然ながら彼女とも恋仲になった。役にのめり込む彼は、共演する女性を見事に魅了し、愛してしまうのだ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 31
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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

RAKISH MANは、 クラシック・カーを愛する

RAKISH MANは、 ヴィンテージのリングを持っている

RAKISH MANは、 使い込むほどに味の出る鞄を知っている

RAKISH MANは、 自宅にアートピースを飾っている

RAKISH MANは、 シガーを嗜む隠れ家を持っている

RAKISH MANは、玄人好みの生地を知っている

RAKISH MANは、 職人の仕事を美しい色彩で楽しむ

RAKISH MANは、 すべてに自分の決まった職人がいる