September 2019

MANNERS MAKETH MAN COLIN FIRTH

最強のジェントルマン、コリン・ファース

text shiho atsumi

前作から数カ月後。謎の組織の攻撃により壊滅状態に陥った「キングスマン」。辛くも生き残った前作の主人公エグジーとマーリンが非常時のプロトコルに従って導かれたのは、なぜかアメリカ・ケンタッキー州のバーボン蒸留所。同盟組織「ステイツマン」の本拠地だったその場所には、死んだはずのハリーが変わり果てた状態で囚われていた……。
キングスマン:ゴールデン・サークル監督:マシュー・ヴォーン 出演:コリン・ファース、ジュリアン・ムーア、タロン・エガートン、マーク・ストロング、ハル・ベリー、ペドロ・パスカル、エルトン・ジョン、チャニング・テイタム、ジェフ・ブリッジスほか 配給:20世紀フォックス映画
2018年1月5日(金) TOHOシネマズ 日劇ほか、全国ロードショー

「前作で役を“当て書き”したいと思っていたマシューは、脚本執筆の初期段階で私と会った。だからハリー役をすごく自然に演じられた。でも今回はもう少し複雑で、気を抜かないように演じなければならなかったね。以前の彼らしい行動をとるところは間違いなくあって、観客が気に入ったキャラクターのままだが、そうでなくなる瞬間もある。油断できなかったのは作品の中盤。彼が口ごもることに気づくと思う。ハリーは戻ってきた。でも完全に、ではないんだ」

文化の違いを描く続編 前作の成功を受け作品は格段にスケールアップした。如実に表れるのはそのキャストだ。何者かの攻撃で壊滅状態に陥った「キングスマン」を立て直そうと、生き残ったエグジーとマーリンはアメリカへと渡る。ケンタッキー・バーボンの蒸留所を隠れ蓑にした同盟組織「ステイツマン」を頼るためだ。それぞれコードネームに酒の名前を持つそのメンバーは、ボスであるジェフ・ブリッジスを筆頭に、チャニング・テイタム、ハル・ベリー、さらにネットフリックスの大ヒットシリーズ『ナルコス』で注目を集めた“ウイスキー”ことペドロ・パスカルを加え、人気、実力(そしてアクションができる!)を兼ね備えた布陣だ。さらに麻薬組織「ゴールデン・サークル」のボス・ポピー役で登場するのは、『シングルマン』でもコリン・ファースと共演したジュリアン・ムーア。カンボジアの密林の奥に建設した1950年代アメリカ風の街「ポピーランド」で暮らし、裏切り者はミンチにするという、ポップでマッドなこのシリーズらしいヒールを怪演している。さらに、エルトン・ジョンがポピーに拉致された本人役でスラップスティックな笑いを振りまく。

 同時に1作目から踏襲する「文化の衝突」というテーマも、別の形で示される。

「最初の映画で探求したのは“階級”におけるそれだ。記憶にあると思うけれど、ハリーは昔ながらの考え方や上流気取りを嘆いている。彼は“エグジーのようなバックグラウンドを持つ人間でも紳士になれる”と信じている唯一の人間なんだよ。そして今回の作品で触れているのは、ふたつの国の極端な違いを覆すことだ」

本記事は2017年11月24日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 19

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