GUIDE TO MILANESE TAILORING
ミラノの4大テーラー、徹底研究
November 2020
ファビオ・アッタナシオが、ミラノの有名なテーラーリング・ハウス4軒を訪れ、
ミラノ仕立ての特徴を徹底的に分析する。
A.カラチェニのカルロ・アンドレアッキオ(右)と義理の息子マッシミリアーノ・アンドレアッキオ・カラチェニ(左)。秘伝のカッティング技術を継承しているのは、このふたりだけだ。
THE RAKEからミラノのテーラーリング・ガイドを書いてみないかと聞かれたとき、私は一も二もなく快諾した。それは、私が何年も前からTHE RAKEを愛読しており、クラシックなメンズスタイルに関心を寄せていたからだけではない。
私の動機は他にもあった。それは私が常日頃から思っていたこと―ミラノ仕立ては特別なものなのか? それともカラチェニの、ひとつのバリエーションに過ぎないのか?―といった疑問を掘り下げて考えるのに、絶好の機会であると思われたからだ。
ひとつ確かに言えるのは、ミラノ仕立ては、イタリアの他の地域と比較して、英国のスタイルに最も近いということだ。この類似性は、副資材を多用しているところによく表れている。胸部にはキャンバス、馬毛、フランネル、ヨーク部には補強キャンバス(いわゆる“スパラッチョ”)、肩パッドなど。
その違いはカット、スタイル、そして結果的にサイズに表れている。ミラノでは典型的なサヴィル・ロウの作品よりも自由度が高い傾向にあるが、イタリアの他の地域で見られるものよりは構造的だ。私の分析が正しいかどうか、読み進めてほしい。