November 2020

GUIDE TO MILANESE TAILORING

ミラノの4大テーラー、徹底研究

text fabio attanasio photography massi ninni

プラータ&マストラーレでストライプのフランネル生地を縫製する熟練のテーラー、アウレリオ・ラモナルカ。

 ネイビーのライトウールのダブルブレステッド・ジャケットが私の目を引いた。オリーブの葉のシェイプをしたラペルのピーク、襟のポジション、フロントのボタンの間隔など、細部に至るまでプロポーションへのこだわりが感じられる。

 アトリエに9人のテーラーしかいないという事実が、この場所をよりアルチザン的で、エクスクルーシブなものにしている。本物の“イタリアン”と言ってもいいだろう。ここで自分のワードローブを仕立てていた、デザイナーのイヴ・サンローランと同じ特権を得られる場所だ。

—ミラノテーラーその4—
【プラータ&マストラーレ】
 クラフトマンシップは、プラータ&マストラーレの根底にある理念だ。ナポリの血統を継ぐミラノの実業家、アルド・インヴェッティによって設立されたアトリエだ。ここもまた、オーナーは仕立て職人ではない。インヴェッティは実際にジャケットを作っているわけではない。Via Fatebenefratelli,17にある本社では、1名のカッターを含む5名のテーラーが働いている。

「クリスティアーノは18歳の頃から、私の服を縫ってくれています」とアルドは、職人のひとりにうなずきながら目を細める。彼のジャケットは、ミラノで生まれ育ったテーラーがミラノで手作りしているが、アルドの原点である、ナポリ風のテイストが感じられる。ショルダーはいかつくなく、肩パッドなしで、ここにナポリタンのルーツが染み込んでいる。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 36
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