GUIDE TO MILANESE TAILORING

ミラノの4大テーラー、徹底研究

November 2020

text fabio attanasio photography massi ninni

 ニコレッタ自身は職人ではない。とはいえ、F.カラチェニのジャケットは100%ハンドメイドで、カッティングのバランスがとれていて、永遠の優美さがある。

 フェルディナンド・カラチェニのジャケットは“カラチェニアン”と呼ばれる。そのスタイルはまさしくカラチェニそのものだ。襟の緩やかな傾きやラペルの幅、素晴らしいプロポーションが、彼らの服をユニークで、ソフトで、軽やかなものにしている。ニコレッタは微笑み、こう回想する。

「私の父は、自分が作ったばかりのジャケットを見て、『ニコレ、このラペルは喋るんだよ!』と言っていました」

 フロントは古典的なミラノ風の構造だが、2本の短い縦の縫い目があり、1本目は直線、2本目は曲線になっているため、生地の柄を損なわないクリーンなカットの裾に仕上がっている。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 36
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

Contents