GUIDE TO MILANESE TAILORING

ミラノの4大テーラー、徹底研究

November 2020

text fabio attanasio photography massi ninni

 私は以前、何回か彼らに会ったことがあるが、その頃のアトリエは、彼らが住んでいたアパートの中にあった。そこは今ではラボ兼ショールームになっていて、4人のフルタイム職人と、3人の外注を擁し、年間120着のスーツを生産している。

 ライニングにはキャンバス、馬毛、フランネルが使われ、キャンバスで肩を補強した、古典的なミラノのテーラーリングだが、フロントの縦の縫い目はカーブではなくストレートだ。

「細身のクライアントが来たときには、アームホールよりも指一本分前に、第二の縫い目を入れるようにしています。これが動きやすさに繋がります」と、ツイル製のグレイのダブルジャケットを例に取りつつ、ジャンフランチェスコは説明する。

 ムゼッラのジャケットは、1930年代に描かれた、非の打ちどころのないプロポーションを持つ、紳士のイラストを思い起こさせる。カット、ボタン、ラペル、襟の形など、ジャンフランチェスコ自身が言うように、このジャケットには“時代を超越した魅力”があるのだ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 36
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