GUIDE TO MILANESE TAILORING

ミラノの4大テーラー、徹底研究

November 2020

text fabio attanasio photography massi ninni

フランチェスコ・ムゼッラ・デンベック(左)と彼の息子、ジャンフランチェスコ(右)。アトリエにて。

 1本目は、胸の形を整え、フロント部分を湾曲させるのに役立っている。通常は、ポケットの高さで水平方向のダーツを入れる。しかしここでは、そのテクニックは、より恰幅のいいクライアントのためだけに使われる。2本目は1本目と比べて、はるかに大きく湾曲している。これはウエストラインを強調し、ジャケットの形を整えるのに役立つ。

 ラペルの先端のカーブはカラチェニのサインのようなものだ。その完璧なオリーブの葉の形は、本物のA.カラチェニであることを物語っている。

—ミラノテーラーその2—
【ムゼッラ・デンベック】
 葉っぱの形をしたラペルとこのような内部構造は、Via Celestino IVにあるムゼッラ・デンベックでも繰り返されているテーマだ。ここにも世代を超えて受け継がれる物語がある。

 受け継いでいるのは、カゼルタ出身の仕立て屋である父フランチェスコと、その息子ジャンフランチェスコである。ジャンフランチェスコは、11歳のときに家業を習い始め、大学卒業後、それに専念することを決意した。フランチェスコは、カラチェニと評判を二分していた伝説的なテーラー、ドンニーニと一緒に働いていた人物だ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 36
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