Exclusive Interview MATT DAMON
俳優:マット・デイモン
愛され俳優の素顔
April 2022
photography grey williams
fashion direction grace gilfeather
special thanks to the Martinez hotel, Cannes, and Riva Yachts
サファリジャケット、ポロシャツ both by Cifonelli パンツ 参考商品 Brunello Cucinelli サングラス「KITZEL」 ¥37,400 Moscot 時計「L.U.C パーペチュアル ツイン」自動巻き、SSケース、43mm ¥3,113,000 Chopard ボート「RIVAMARE」¥165,000,000(※為替により変動の可能性あり)Riva
ひたむきだった若きデイモンは、ハーバード大学に提出する入学願書にまで、「自分が記憶する限りずっと俳優になりたいと思っていた」と書いていた。
そしてご存じの通り、彼は演技の世界で才能を開花させるが、当初は他の俳優と同様に不合格と落胆の連続だった。
「ベンと僕は、不合格を『“もういいよ、お疲れ”される』と呼んでいた。まさにそういう体験だったから。オーディションの部屋に入って泣き叫び、顔を涙と鼻水まみれにして見上げたら、“もういいよ、お疲れ”と言われて終わり。バックパックを背負って立ち去るときは最悪の気分だよ」
デイモンは16歳で俳優組合に加入したが、彼がハリウッドで確固たる地位を築き始めるまでにはそれから10年の時を要した。1996年以降、デイモンが少なくとも年に1本の映画にクレジットされてきたという事実は、特筆に値する。
彼の存在を世に知らしめた名作中の名作、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』は、2億2,500万ドルの興行収入を達成。アカデミー賞で主演男優賞を含む9部門にノミネートされ、助演男優賞(ロビン・ウィリアムズ)と脚本賞を見事獲得した。彼とアフレックの受賞スピーチには、若きふたりの初々しさや高揚感、緊張感がはっきりと見て取れた。
その興奮はやがて痛切な思いと深い思想へと変化する。自宅に戻り、受け取ったオスカー像を眺めていたデイモンは、受賞スピーチのときとは対照的な、意識が冴え冴えとするひとときを味わったのだという。彼は、この像が人生のあらゆる問題を解決したり、物事を完璧に進める万能薬や聖杯ではないことに気づいた。そしてさらに重要なのは、それを理解するために残りの人生50年を費やす必要がなくなったと気づき、感謝の念を覚えた。デイモンはこう回想する。
「まるでいきなり老人になった自分がオスカー像を持ってそこに腰かけ、自分は一体何をしたんだ? と考えているようだった。やがて感謝の気持ちが芽生えた。そうだ自分はまだ27歳で、ありがたいことに誰も食い物にすることなくこの像を手にできた。現実なんだ、前に進もうってね。僕にとって重大な瞬間だった」
本記事は2021年11月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 43