June 2020

DEEP AND MEANINGFUL

世界の海軍に評価された時計

text ross povey

 1970年代には、米国海軍もスノーフレーク針のサブマリーナーをダイバーに支給した。主要な支給対象は、やはりUDTやSEALsの部隊だった。米国海軍のダイバーもまた、ファブリックストラップで時計を装着した。

 当時のブレスレットは、特に戦闘時に破損しやすい箇所がいくつかあったため、ストラップのほうが格段に安全だったのだ。ファブリックストラップであれば、たとえバネ棒が1本壊れても時計を落とさずに済んだし、ダイバーはストラップに小型の羅針盤と温度計を装着することもできた。

 元ダイバーから直接購入された時計には、こうした追加装置がストラップに取り付けられたものや、秘匿性の高い夜間任務中に針とダイヤルの光を隠せるよう、時計の表側を覆うホック付きフラップが付属したものも多い。

世界各地で出合う驚き 長い歴史の中で、世界各地の軍隊に由来する驚くべきサブマリーナーがいくつか発見されている。

 私個人としては、1970年代に南アフリカ海軍が支給したチューダー サブマリーナーの研究に多くの時間を費やしてきた。それらは納品数が非常に少ない特別な時計であるが、私は幸いにも元ダイバーや将校の方々とお付き合いがあり、長年にわたって彼らに研究のチェックやサポートをしていただいている。

 また、ジャマイカ国防軍(JDF)が支給したチューダーを発見できたのも幸運であった。この時計はJDFの現役将校から購入したものだ。

 その他にチューダーによる支給で有名な軍としては、カナダ海軍、アルゼンチン海軍、イタリア海軍が挙げられる。こんな風に、驚くべき品が次にいつ現れるかわからない点こそ、チューダーのサブマリーナー集めの醍醐味なのである。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 32
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