June 2020

DEEP AND MEANINGFUL

世界の海軍に評価された時計

text ross povey

フランス海軍とのつながり 最も有名なミリタリー仕様のチューダーは、フランス海軍に供給したピースである。チューダーとの長年にわたる関係は1950年代半ばにスタートした。フランス海軍がまとまった数の「チューダー オイスター プリンス サブマリーナー7922」を注文したのが始まりだ。

 これは水深100メートルまで対応する、チューダーが初めて手がけたサブマリーナーだった。フランス海軍の採用によって、チューダーはその後サブマリーナーラインを研究開発する上で非常に貴重な情報源を得ることになった。

 1958年になると、フランス海軍は「ビッグ クラウン」と呼ばれたRef.7924を採用した。このモデルは、水深200メートルまで耐えられる厚みのあるケースと、大ぶりな8ミリのリュウズが特徴だった。いずれの工夫も、フランス海軍のダイバーの声に応えた結果である。

 ちなみにチューダーは2018年に、この1958年のRef.7924の面影を残した「ブラックベイ フィフティ-エイト」を発表している。現代のチューダーウォッチの中でも、コレクターの間で最もヒットしているのがこのブラックベイである。

1954年製の「チューダー オイスター プリンス サブマリーナー 7922」。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 32
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