COOL MUTHA FUQUA

クロサワのDNAに忠実な鬼才

June 2017

text nick scott photography piers cunliffe
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『サウスポー』(2015年)のジェイク・ギレンホール。

クロサワ作品を完璧にリメイクするなんて到底無理だ クロサワは映画界のシェイクスピアだからね。オリジナルを超えようとするんじゃなく、リスペクトを込めた自分なりの作品をつくろうとしたよ。

名作をリメイクするからには責任を持ちたい『荒野の七人』も『七人の侍』も人気の古典映画だけど、そのDNAは今でも多くの人々の共感を呼んでいる。世界には今も暴政に苦しむ人々がいて、悪者と戦う弱者がいる。基本的なコンセプトである自己犠牲の精神、助けを必要とする他者のために我が身を危険にさらすという生き方は、いつの時代になっても語る価値のあるストーリーだ。

西部劇を手がけるのは、まるで12歳の少年になったような気分だった 慣れ親しんだ場所にいるような感じがすることもあるし、逆に自分の中から新しい何かが湧き出てくることもある。今回の作品では何度も自分の中にある少年の心が突き動かされたよ。銃をくるくる回すショットを撮りたくなったし、傑作西部劇『真昼の決闘』のように、デンゼル・ワシントンが長い影を落としながら通りを歩いて丘の上の悪者たちに会いに行く場面も撮った。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 14
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