October 2023

BLUE BLOODS

王族破廉恥物語:“ブルーブラッズ(貴い血統)”たちの生態

text ed cumming

歴代で最悪の王ともいわれるジョージ4世の画家トーマス・ローレンスによる肖像画。若い頃は美青年だったが、その後、肥えてしまい醜男となる。

 ヴィクトリア女王の2代前のジョージ4世(1762~1830年)もまた、女性関係にだらしない国王であった。実際、彼は歴代の英国王の中で最悪の存在かもしれない。エドワード7世と同様、ジョージ4世はたいそう太っており、ウエストは最終的に50インチ(127センチ)以上に達していた。ジョージ4世は放蕩の末に63万ポンド(現在の貨幣価値で約94億円)にものぼる借金をつくり、それを精算するためにブラウンシュヴァイク=ヴォルフェンビュッテル公の娘キャロラインと政略結婚させられた。

 しかしながら国王は彼女のひどい体臭に鼻をつまんだという。結婚式では、ブランデーをしこたま飲んで酩酊状態、弟たちに左右から支えられてやっと式に臨んだ。ふたりのあいだには長女シャーロットが生まれたが、あっというまに別居した。キャロラインは国王のみならず議会にもひどく嫌われていたため、5万ポンドを提示され国外退去を迫られたこともあった。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 53
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