Monday, June 24th, 2019

ADVANCE AUSTRALIAN FLAIR
オーストラリアからやってきた才能

俳優の年齢の重要性
 2011年、ヒット作『ウォーリアー』でトム・ハーディとともに主演を務めると、エドガートンのキャリアは完全に軌道に乗り始める。この作品は、『レイジング・ブル』や『ロッキー』、『ザ・レスラー』、『ファイティング・キッズ』などをヒントに作られた総合格闘技映画だ。エドガートン演じるブレンダン・コンロンは、格闘家から教師に転身し、再び格闘家となり、トム・ハーディ演じる離ればなれに育った弟と戦いを繰り広げる。ギャヴィン・オコナー監督は、まるで予知していたかのように、現在のトップ俳優ふたりをキャスティングした。
『ウォーリアー』は、スクリーンを通じて人々をどう描くかという点で、今の時代の流れをうまく捉えた作品である。マッチョな筋肉が主流の1980年代と、『トッツィー』でのダスティン・ホフマンの繊細さが、互いに矛盾することなく融合している。また、単に悪者を倒すという願望だけでなく、家族を養えないというつらさが物語に深みを与えている。
 俳優の年齢もこの作品の重要な要素となっている。映画が公開されたとき、エドガートンとハーディはともに30代半ばだった。エドガートンは、年齢の重要性は高まっていると感じている。
「40代の俳優にはまったく新しいキャリアが待っている。シワが増えた人間も、経験を積んだ人間も、さまざまなことを見て酸いも甘いもかみわけた人間も、すべて演じられるようになる。現代では誰かのブログを読みあさるのが好きな人たちもいるけど、一方で、映画館へ足を運び素晴らしいストーリーに関心を寄せ、自分自身や自分の経験を重ね合わせる観客もいるんだ。だからひとりの俳優としてそういう人たちに共感してもらうことは、新しい世界へのチャンスになる。脚本家や監督としても、人生経験のおかげでより豊かな内容のストーリーをたくさん生み出すことができるようになる。歩いてきた時間が長いほど、間違いなく多くの物事を見てきているからね。築き上げてきたものの中には後悔や失敗や苦労などネガティブなものもあるけれど、それが人の心を動かすドラマを生むし、キャラクターの深みも増すんだ」

役に大小はない
 エドガートンはその後、それまで以上にさまざまな名作や大作で活躍を見せた。『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012年)もそのひとつで、キャスリン・ビグロー監督がオサマ・ビン・ラディンの追跡・殺害を描いた作品だ。ラストの驚愕の制圧シーンは、イラクでの爆発物処理班の任務を描いてオスカーを総なめにした『ハート・ロッカー』(2008年)と同じ緊迫感に包まれていて、歴史的ミッションを生き生きと表現することに成功している。それはひとえに、ジョエル・エドガートンとクリス・プラットの説得力のある演技の賜物といえる。実際、エドガートンはこの作品の予告編に最初に登場する役者のひとりで、台詞の少ない比較的小さな役だったにもかかわらず、多くの人々が彼を評価している。
 エドガートンが、「小さな役などない」ということを証明できる俳優であることは間違いない。彼はプロジェクトを引き受ける際、それ自体に価値があるか、自分が役柄を引き立てられるかということを念頭に置いている。
「『ゼロ・ダーク・サーティ』は魅力的だった。海軍特殊部隊との訓練や、ヨルダンへの渡航、武器の訓練などが待っていたからね。出演に関しては、とても神経質になっていた。誰だってこの作品がセンセーショナルな主題であることはわかる。懸念したのは、一歩間違えれば米軍の権力、偉大さ、軍事力を描く映画になってしまうということ。肝心なのはそこじゃない。でも知性ある製作陣の手できちんと作られることがわかったから決めたんだ。役の大きさはまったく問題にならないよ」

バズ・ラーマン監督による『華麗なるギャツビー』(2013年)。

『ブラック・スキャンダル』(2015年)で、ジョニー・デップと。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 15
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