THE GRAPE AND THE GOOD

300年のラグジュアリー:レミーマルタン

August 2019

text tom chamberlin

左:ロンドンのウォーダー街にオープンしたラ・メゾン・レミーマルタ。右:レミーマルタンの多様性を感じられるコニャックの数々。

 XOは、親しい人々と一緒に、ロックで飲むのがいいでしょう。アロマが芳醇で複雑、レミーマルタンの本質が最もよく表れています。時間をかけて味わってください。1738は、ディナーの前に飲むのがおすすめです。VSOPはカクテルに最適で、力強さがありパーティーにぴったりです。

 3、4年前までの私は、コニャックについて、さして詳しくありませんでした。今では、ファッションと同じように、さまざまなスタイルのコニャックがあること、どれかひとつが他より優れているというわけではないこと、ひとつひとつのブランドに個性があることがわかるようになりました」
 
モットーはチャレンジすること「私のモットーは、“チャレンジしてみなければ成功しない”です。これは、レミーマルタンのオーナーファミリーも好む言葉です。北京のショッピングモールに『ルイ13世』のブティックをオープンさせたのも“チャレンジ”なのです。

 出店したのは、ルイ・ヴィトン、フェンディ、ベルルッティなど、メンズのラグジュアリーブランドが建ち並ぶ界隈です。私たちはそこでコニャックを販売しています。大胆な行動でした。私にとって、小売りは未知の経験でしたから。

 今後5年間で最も購買力が高いのは、25歳くらいから40代までの層だといわれています。ラ・メゾンは、この世代をターゲットにしています。若い人にアピールする手段として、カクテルを提案することは、ひとつの方法だと思います。

 今は“量より質”という飲み方が主流になっています。コニャックを売り出すまたとないチャンスです。そこで、ひとつのメッセージを打ち出すことになりました。『One life /Live them =たった一度の人生なら、多面的に生きよう』というキャンペーンです。まさにコニャックの持つ複雑さ、多面性を表現していると思います。

 このようにブランドの認知度を上げるために、さまざまな投資をしていますが、レミーマルタンの本質を変えるつもりはありません。それは職人技と悠久の時間に裏打ちされた、最高のクオリティということなのです」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 17
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