THE FLAIR UP THERE

20世紀のライトスタッフ

January 2020

text josh sims

宇宙飛行士のお守り 正式なパイロットは身に着けている腕時計で特定できたという。

「腕時計は約2,000の目盛りを備えており、敵の銃声以外であれば、ほとんど何もかもを記録するダイヤルを搭載していた。パイロットの間では、こうした特殊な腕時計が、事実上の同業者協会員のバッジだった」とあるパイロットは述べている。

 アポロ11号の乗組員の写真に、1969年の式典でニクソン大統領と会っているオルドリン、アームストロング、マイケル・コリンズを写したものがある。3人はそれぞれ、ショールカラー型でボタン位置の低いディナースーツを身に着けている。これはフォーマルかつドレッシーなイベントだったが、アームストロングは、本来はスポーツ・ウォッチであるオメガ スピードマスターをコーディネイトしている。

 そんな彼の、月面着陸用宇宙服の縫製業者を決定したのは、厳正なる競争入札であった。コンペの結果、ブラジャーメーカーのプレイテックスが、昔ながらのお針子の職人技を使えば、ハイテク・メーカーが作るものより、優れた宇宙服を作ることができることを証明したのだ。宇宙飛行士の公式時計となったオメガ スピードマスターも、似たようなプロセスでアメリカ人宇宙飛行士たちのお守り的な存在となった。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 31
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