Monday, January 6th, 2020

THE FLAIR UP THERE

20世紀のライトスタッフ

text josh sims

 基地の近くにある唯一のバーだったパンチョの店を、宇宙飛行士らがハッピー・ボトム・ライディング・クラブ(“お尻がハッピーになる乗馬クラブ”を意味するが、“ハッピーなお尻乗りクラブ”とも解釈できる)と呼び始めたのも無理はない。土曜日の夜に、ウイスキー、男女の戯れ、危険を省みぬ、宇宙飛行士ならではの大量のアドレナリンで盛り上がれば、毎週、乱痴気騒ぎのパーティーになったことは必至だっただろう。

 アポロ世代の宇宙飛行士の時代はそれほど騒々しくなかったが、クールさでは引けを取らなかった。例えば写真のアームストロングは、タオル地のポロシャツにベースボールキャップとアメリカン・オプティカルのアビエーターサングラスを合わせ、太い葉巻に火を点けている。

 1964年にケープカナベラルでジョン・F・ケネディ大統領と会ったシラーは、二枚目俳優のようなオーラで大統領の影を薄くさせてしまった。飛行前に着用するNASAのジャンプスーツにコンバースのローカット・スニーカーを合わせたのは、このシラーであった。現時点で月面を歩行した最後の男、ジーン・サーナンも、MA-1ジャケット、ジーンズ、ベレー帽という装いでアイスランドでの訓練に臨んだ。皆それぞれにクールであった。

 当然ながら、このグループに所属する権利を得たパイロットはエリート中のエリートだった。彼らは世界レベルのパイロットたちから選抜されており、60年代へ差しかかる頃に、シークレットだらけの選考過程を経て選ばれた精鋭たちだった。当時の候補者の控え部屋は、優秀な操縦士でいっぱいだったが、多くは緊張でビクビクしていたという。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 31
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