March 2020

THE APPLIANCE OF SCIENCE

サステナブルなスーツとは?

text ryan thompson photography kim lang & rian davidson
issue10

工場見学時、アーカイブされた生地を詳しく見るフランチェスコ・バルベリス・カノニコ氏と。

 私はそのスーツを非常に気に入っていたし、16年が経ち、トラウザーズが入らなくなった今でも愛用している。ジャケットの方は、夏用のセパレートとして今もしょっちゅう身に着けている。流行に左右されないスタイルで、長い寿命を持つこのスーツこそ、サステナブルな服のあるべき姿だ。ビスポークでないのが唯一の弱点かもしれないが、私にその選択肢はなかった。

 そんな私がギーブスに興味を引かれる出来事があった。新しく進化したメイド・トゥ・メジャー・サービスのことを耳にしたのだ。まさに“買い物は量を控えめに、質を高めに”というスローガンを絵に描いたような方式だ。

 ギーブスの新サービスは、新たなハウススタイル、進化したデザイン、顧客が選べる幅広い高級生地を提供する。服地の95パーセントはイギリス国内で生産されるため、海外製生地の輸送にかかる二酸化炭素排出量を削減できる。(お気づきの通り、私が服地を手に入れるためにイタリアまで行ったのは確かだ。そこは大目に見ていただきたい!)

 ギーブスのメイド・トゥ・メジャー・サービスを利用する顧客は、独自のフィッティング・ブロック(基本となる型)と最大35カ所の寸法に基づいてスーツを誂える。ジャケットはシングルかダブルか、ノッチドラペルかピークドラペルか、総裏か半裏か、そしてトラウザーズはノープリーツかプリーツ入りかなど、自分用スーツを誂えるための選択肢は非常に豊富だ。

 私が使用するのは通気性に優れた14オンス、4本撚糸仕様のトロピカルウール地だったので、半裏、ピークドラペル、1ボタン留めのシングルブレステッド・ジャケットを選択した。ラペルには目に付きやすいピックステッチをお願いした。ピックステッチは縁がはっきりした印象になるのが気に入っている。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 32
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