SARTORIA LUCOLT

サルトリア ルコルト
贅沢生地のススメ

January 2023

text yuko fujita
photography shinichiro uchida(P1)
jun udagawa(P2)

贅沢生地のススメ01:John Cooper “Dobcross”

世界に14台のみ現在する
シャトル織機での極上生地
1800年代後半から1960年代まで生産されていたドブクロス ルームにて、スーパー140’s&カシミア&シルバーミンクを経糸・緯糸ともにあえて60番手双糸の太い糸にして織り上げた英国ジョン クーパーの“ドブクロス”。「サルトリア ルコルトで圧倒的にいちばん人気の生地です。私は生地の目を通すことをとても大切にしているのですが、耳の周辺も生地が安定していて、綾織りでも地の目を追いやすく縫いやすいです。独特のヌメリ感があり、しっとりしていて最高の着心地を味わえます」。340g/m。

贅沢生地のススメ02:H.Lesser&Sons “Lumb’s Golden Bale Exclusive Jacketing”

最高峰ウールの代名詞の
珍しいジャケッティング
2019年からLBDハリソンズグループが商標をもつ“ラムズゴールデンベール”は、今日、同グループのH.レッサー&サンズがコレクションを展開している。「ラムズゴールデンベールでジャケット地というのが珍しいなって。糸を贅沢に使ってしっかりした目付けで織られており、触れた瞬間に上質さが伝わってきます。カシミアのようなヌメリ感があり、柄の色合いも品がありますよね」。余談だが、セブンフォールドの加賀健二氏は、先日こちらの生地で小澁氏にジャケットをオーダーしたそう。320g/m。

贅沢生地のススメ03:Escorial “Escorial Wool 4Ply”

エスコリアルの中でも
さらに贅沢な4プライ
エスコリアルウールはニュージーランドの南島とオーストラリア南部の牧草地に放牧されているエスコリアル種の毛で、13~15マイクロン(スーパー換算で170’s~210’s)相当の極細ウール。小澁氏のイチ押しは、それを贅沢に4プライにしたタイプ。「柔らかくて甘い感じの6プライもラインナップされているのですが、個人的には柔らかくて程よくコシがあり、素晴らしい仕立て上がりになる4プライがいちばんの好みです。これだけの生地なのに膝も抜けにくく、極上のサキソニーといった感じでしょうか」。380g/m。

贅沢生地のススメ04:Holland & Sherry “Super 120’s & Cashmere & Chinchilla”

カシミア&チンチラ混の
貴重なデッドストック
1980年代半ばから後半にかけて低速織機でゆっくりと織り上げられたタスマニアンウール&カシミア&チンチラのヴィンテージファブリック。混率は定かではないが、同じホーランド&シェリーでかつてあった“ヴィクトリー”のように、カシミアとチンチラのブレンド率は僅かと推察される。「今回ご紹介している他の3つの生地とはややタッチが異なり、ハリがあるぶんパキッと仕立て映えする高級生地です。耳の近辺も安定感があり、地の目を通しやすいのも魅力です。残り僅かです」。目付けは不明。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 48
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